富士通総研

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  5. 地球温暖化抑制およびエネルギー問題に関するグローバルな取り組み

地球温暖化抑制およびエネルギー問題に関するグローバルな取り組み
~日独協力の展望~
-特別企画コンファレンス-

概要

世界各国で地球温暖化の進行を抑制するため、気候変動やエネルギーの効率的な利用に関わる政策が実行されつつある。もはやこれらの政策的課題は一部の専門家による関心事ではなく、G8北海道洞爺湖サミットでも明確になったように世界共通の最優先課題である。

フリードリッヒ・エーベルト財団、ベルリン日独センター、並びに株式会社富士通総研は、日独両国並びにEUの持続的な発展のためには、気候変動とエネルギー問題をグローバルな視点で議論し、解決策を見いだすべきであると考え、本会議の共催について同意した。

気候変動政策は、規制変更への適応のための初期費用はかかるかもしれないが、日本とドイツのイノベーションと成長に恩恵を与えるかもしれないとの結論でシンポジウムは幕を下ろした。両国とも既に、エコ技術の開発、利用、そして輸出において非常に進んでいる。比較すると、日本は既にエネルギー効率と、トップ・ランナー・プログラムのような成功をみている技術革新促進のためのコンセプトにおいて、優位に立っている。他方ドイツとヨーロッパでは、再生可能なエネルギーについて家庭用分野の需要を促進するようなプログラムは非常に成功しているし、また企業への機会も開かれている。最高の技術と最高の実践の組み合わせは、開発途上国に関与してその支援を行う機会をもたらすものである。これは、ますます高価格になるエネルギーを保全し、爆発的な成長期においては全市民のために持続可能な環境をもたらすための鍵となる。

このような相互の利益に基づくと、適切な技術移転そして高度なグローバル排出権取引制度が可能になる。シンポジウムでは、まず、福山哲郎氏(民主党参議院議員、党務(国会)政策調査会長代理)が日本のエネルギーおよび気候安全保障の展望の概要を示した。同氏は、1990年を基準に温暖化ガスを2020年までに25%、そして2050年までに60%削減するという日本の主なイニシアティブを示した。これを達成するには、排出管理の新制度と技術の進展が必須である。この制度はグローバル排出権取引と、カリフォルニアやドイツで見られたような環境政策における画期的なリーダシップが必要である。それゆえ、必要な知的財産権保護を確保しつつ、いかにして新興経済を排出管理と技術移転の制度へと引き寄せるかに対して、より多くの解が望まれると同氏はいう。

有馬純氏(経済産業省大臣官房参事官、国際エネルギー交渉担当、資源エネルギー庁長官官房国際課長)は、現実的な段階と実際的な解決に強い重点をおきつつ、日本のエネルギー政策の概要を示した。日本がエネルギー戦略において既に達成した成功は、外的なショックに対する脆弱さ、エネルギー源の欠乏、そして最近では気候変動の予測が強く認識されたことによるものである。同様にこれからの段階では、(1)責任をもって達成されうる目標についての現実的な議論、(2)各産業の潜在的な可能性についてのセクター別アプローチによる現実的な解決、(3)来年のいずれかの時点での日本の中間目標の公表が必要であると発言した。効率性と再生可能エネルギーの問題は、太陽発電の利用を2020年までに10倍、2030年までに40倍に拡大し、低炭素社会を推し進めるために「グリーン税制」を用いることで取り組まれる。以上を達成するには、日本のエネルギー政策がその産業のニーズに密接に連関し続ける必要がある。

ペートラ・ビアヴィルト氏(環境・自然保護・原子炉安全委員会会長)は、「ドイツ、ヨーロッパのエネルギーおよび気候安全保障の展望-過去の教訓および今後の戦略」を概観した。ドイツでは、新たな立法パッケージにより、2020年までに、二酸化炭素排出量を40%削減し、発電における再生可能エネルギーの使用を少なくとも30%引き上げようとしている。この戦略の主たる部分は、効率性の向上に重点を置いている。既に2009年までには、建築物のエネルギー保存基準は、30%引き上げられることになっている。同氏はまた、原子力エネルギー割合を引き上げることは、実は逆効果であると強調する。というのは、過度の投資がなされ、輸入ソースへの依存は残り、またセキュリティーのリスクも増大するからだという。EUもまた、2020年までにエネルギー効率を20%向上し、再生可能エネルギーの使用を平均20%とすることを目標とする気候パッケージを進めている。全体的にみて、ヨーロッパの気候変動政策は、エネルギー消費を削減し、エネルギー効率を向上させ、再生可能エネルギー源の範囲を拡大することにあるようである。

シュテファン・レヒテンベーマー氏(ヴッパータール気候・環境・エネルギー問題研究所)は、シンポジウムでの最初の「アカデミック」な報告者であった。同氏は、エネルギー効率こそが、気候変動とエネルギー需要に関するグローバルな問題を解決するための鍵であると強調した。エネルギー効率の追求の直接的な利益は、経済成長を支える助けとなる新市場の形成である。日本とドイツは、この市場形成において重要な役割を果たす。両国はともに「効率性のリーダー」だからである。同時に、「効率性のリーダー」の協力は、皆の利益となるだろう。というのは、両国は、経済に革命を起こし、全市民に対して持続可能な環境への道を示すことができるからである。

専務取締役 根津利三郎は、現実的な排出量取引および、そのグローバル経済との両立性に視点をおいた。例えば、京都議定書の目標の達成は、既存のアプローチ(自主行動計画、住宅、建物の断熱など)を強調することによって達成しうるものである。しかし、その目的を達成するためには、中国とインドの成長もまた方程式の一部でなければならない。この点において、上昇する原油価格は望ましい。幾つかの開発途上国でみられる逆効果の燃料補助金は、段階的に廃止されねばならないからである。同時に新たな油田への増大する投資は非効率的である。適切な排出量基準が設立されれば、原油価格は下落し、石油産業は下降するからである。したがって、初期に技術を進展させた国に未来がかかっているのであり、人類が天然資源の持続可能な利用へとシフトすれば、石油および石炭業者や大規模なエネルギー使用者は後退するのである。

マルティン・イェニッケ氏(ドイツ環境諮問評議会顧問、ベルリン自由大学教授)は、環境イノベーション政策のすばらしい可能性を指摘した。産業にとって環境イノベーションは将来において最強の市場である。環境イノベーションは即座にコストを削減するので、世界規模で需要が増大している。しかし、また同氏はそのような技術革新は「政策による」ものだともいう。したがってトレンドを形成する「賢い」環境基準は、ドイツと日本の産業のポテンシャルを大幅に改善しうるのである。EUの「牽引市場」イニシアティブは、持続可能な建設、リサイクル、バイオ・ベースの製品、そして再生可能エネルギーという、4つのエコ・イノベーションに関する市場の重点化は良い例である。これにより市場が発展し、開発途上国へ製品が輸出されうるレベルまで価格が下がったのである。

フリーデマン・ミュラー氏(ドイツ国際政治・安全保障研究所・SWP)は、グローバルな排出権取引制度の利点を分析した。利点には、(1)全参加者に対する同じ基準の下での地球規模での排出量の削減、(2)取引を通じて皆が利益を得つつも炭素排出の価格が固定される、(3)取引からの利益を得るため、全参加者が排出量削減の利益を有すること、が挙げられる。グローバル排出量取引の主たる効果は、まずは予防的なものであるが、近代化を加速する可能性をも有している。経済的に気候変動に対処するために先を見越して措置をとる場合、措置がとられない場合に比べて、その費用は格段に少なくて済む。

フランク・シュヴァーベ氏(ドイツ連邦議会議員、社会民主党議員団気候問題・排出権取引問題担当議員)は、ヨーロッパの排出権取引に関する最初の経験を報告した。同氏は、当初はこのメカニズムには欠陥があったことを示した。第1に、異なる割当方法によって、全体での計量が困難になった。第2に、割当は最も排出量が多い国に基づいてなされたので、インフレが起こった。第3に、適切な取引管理がなされていなかったので、市場が急激に縮小した際に時宜を得た修正ができなかった。これらの当初の欠陥は現在では修正されているが、ヨーロッパ全体に向けた、単一の排出量フレームワークを導入することはいまだ重要である。そうすることによってのみ、環境フレンドリーな技術への投資インセンティブを形成するために、低資本収入国への排出権の配分がなされる。

濱崎博氏(国際公共政策研究センター主任研究員)は、日本にとっての排出権取引の影響を検討した。京都議定書にように、先進国のみに削減目標を課する状態では、先進国から途上国への産業移転等による炭素リーケージが生じ、気候安定化に十分な削減が困難である。この問題の解決には途上国への技術移転が重要であり、費用負担、知的所有権を含めた枠組みの早期提示が必要とした。また、他の国内排出量取引制度と我が国の排出量取引をリンクする際には、クレジットの配分方法が過去の努力を反映しない場合、エネルギー効率の高い我が国産業にとって不利益な条件での競争を余儀なくされる結果となると述べた。

13時~13時10分 開会挨拶
ベルリン日独センター事務総長 フリデリーケ・ボッセ 氏
フリードリヒ・エーベルト財団 ベルトルト・ラインバッハ 氏
第一セッション
13時10分~14時25分 キーノート:日本、ドイツ、欧州のエネルギー政策および気候政策の基本方針
【司会】フリードリヒ・エーベルト財団 ベルトルト・ラインバッハ 氏
日本のエネルギーおよび気候安全保障の展望
民主党参議院議員、党務(国会) 政策調査会長代理 福山 哲郎 氏
日本の新エネルギー政策-新しいパラダイムか?
経済産業省大臣官房参事官、国際エネルギー交渉担当 有馬 純 氏
ドイツ、ヨーロッパのエネルギーおよび気候安全保障の展望-過去の教訓および今後の戦略
環境・自然保護・原子炉安全委員会会長 ペートラ・ビアヴィルト 氏
14時25分~14時40分 休  憩
第二セッション
14時40分~16時 エネルギー効率性の向上-未来のエネルギー源としての可能性-技術政策または規制政策
【司会】富士通総研主任研究員 マルティン・シュルツ
ドイツとヨーロッパにおける効率性向上-科学技術および経済産業の可能性および課題-日独・日欧協力の現状、展望、可能性
ヴッパータール気候・環境・エネルギー問題研究所 シュテファン・レヒテンベーマー 氏
日本における効率性向上-政策、実践、日独・日欧協力の可能性
富士通総研専務取締役 根津 利三郎
技術促進政策または規制政策-対立的な戦略または相補的な戦略
ドイツ環境諮問評議会顧問、ベルリン自由大学教授 マルティン・イェニッケ 氏
第三セッション
16時~17時45分 排出権取引制度-二酸化炭素排出問題の解決策としての可能性
【司会】東京国際大学国際関係学部教授 武石 礼司 氏
排出権取引制度(ETS)-グローバル・システムとして機能する方法
ドイツ国際政治・安全保障研究所・SWP フリーデマン・ミュラー 氏
ドイツとヨーロッパにおける排出権取引制度(ETS)の普及および成果
ドイツ連邦議会SPD気候問題・排出権取引問題担当議員 フランク・シュヴァーベ 氏
排出権取引制度の日本における導入可能性
富士通総研上級研究員、国際公共政策研究センター主任研究員 濱崎 博 氏
17時45分~18時 総括コメント
フランク・シュヴァーベ 氏

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~日独協力の展望~
-特別企画コンファレンス-
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