「革新創造国」造りに向かう中国のチャレンジ
主席研究員 金 堅敏
2008年10月
目次
1. 問題意識
2. 中国産業発展の限界と課題
2.1. 「世界の工場」となった中国
2.2. 顕在化する「世界の工場」の課題
3. 高付加価値化に向けた外資政策の転換
3.1. 産業高度化に活かす外資政策へ
3.2. 外資に大きな影響を与える政策の転換
3.3. 中国の政策調整に伴う外資行動の変化
4. 「革新創造国」造りに動き出す中国
4.1. 弱い技術革新能力
4.2. 技術革新の政策推進
4.3. ハイテク産業育成と台頭する民間セクター
4.4. 産業高度化・イノベーション戦略の限界
5. 中国産業経済発展のゆくえ
5.1. まとめ
5.2. 中国産業経済の将来性
要旨
これまで世界の経済誌を賑わした中国の「世界の工場」化は、不足経済に代表される国内・対外発展の不均衡をもたらし、海外では「メイドインチャイナ」製品の品質問題が多発し、中国製品に対する消費者の信頼性、特に中国製の食品や医薬品に対する信頼性も急低下してきた。「世界の工場」の発展は限界に達した。もっとも、中国の胡錦濤政権も、このような発展の限界を認識し「科学的発展観」を提起しバランスの取れた社会発展を目指している。外資主導・輸出主導の工業化戦略の下での低コスト政策を改め、成長を伴った労働分配率の向上、選択的外資政策の採用、環境コストの内部化などの施策による消費構造・産業の高度化政策を矢継ぎ早に打ち出した。長期的には、「革新創造国」(「創新型国家」)を目指すこととしている。
本研究は、中国産業経済発展が直面する問題と課題、胡錦濤政権の政策対応を整理・分析した上で、結論として、1)現在、「踊り場」に差し掛かっている「世界の工場」をもたらした中国産業政策は、急速な工業化を実現した「功」もあれば、産業高度化を遅らせた「罪」もあること、2)「低コスト政策」の転換は生産分野に進出した外資にとって「経営環境の悪化」を意味するが、それは中国の意図されたものであり、一部労働集約外資を撤退させる政策目標でもあったこと、3)国有経済支配の動きや深刻な知財侵害問題を引きずりながら、「革新創造国」造りには限界があることなどを挙げた。持続可能な発展戦略を実現するためには、1)市場原理を基本にすること、2)知的創造尊重社会を形成すること、3)最終的には契約社会・信用社会の構築が必要不可欠であることを提示した。
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PDF 「革新創造国」造りに向かう中国のチャレンジ
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