中国経済のサステナビリティと環境公害問題
上席主任研究員 柯 隆
2008年7月
目次
1. はじめに---問題意識
2. 環境公害問題深刻化の背景
3. 経済発展に伴う資源消費構造の変化
4. エネルギー消費大国の課題
5. 環境破壊の現状とその背景
6. 環境破壊の制度面の問題
7. 環境保全に向けた国際協力
8. 終わりに---結論と提案
要旨
- これまでの30年間の「改革・開放」政策は中国で奇跡的な経済成長を実現し、中国社会を大きく変貌させた。他方、中国の環境破壊は予想以上に深刻化し、大気汚染、水質汚染と固形ゴミ増加など公害問題はこれ以上先送りできなくなった。
- 今年から胡錦濤政権は2期目に入り、従来の経済成長一辺倒の政策を方針転換させ、環境に配慮した「科学的発展観」を提唱している。06年からスタートした第11次5ヵ年計画では、2010年までの5年間、エネルギー効率を20%引き上げる目標が立てられた(1年間4%改善の計算)。しかし、06年と07年のいずれもこの目標は実現できなかった。
- 環境破壊と公害問題深刻化の背景に、政府の政策が経済成長に軸足を置いてきたことがある。環境保全軽視の姿勢は環境破壊を深刻化させる本源的な原因といえる。同時に、企業にとって環境保全よりも産廃など有害物質をそのまま排出したほうがコストが安いというモラルハザードがある。
- 結果的に、経済成長とともに、国民の生活レベルは日々向上し、モータリゼーション(自動車の普及)も始まっている。国民生活が改善されるにつれ、エネルギー資源の消費量も次第に増えている。しかし、その半面、省エネと環境保護への取り組みは極端に不十分である。
- 中国のような途上国にとって環境保全に向けて努力するために、単なる技術や設備の改善だけでは十分ではなく、制度的枠組みの構築が不可欠である。すなわち、国民レベルの草の根の努力が重要であり、NGOのような市民運動を認め、それによる行政や企業に対する監督はより重要な役割を果たすものと期待される。
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