サービス・コストに関する一考察
-利用者の視点から-
上席主任研究員 長島 直樹
2008年4月
目次
1. はじめに
2. 理論的枠組みと研究仮説
2.1. 価値の考え方
2.2. 知覚コスト・知覚リスクの構成
2.3. サービスの類型化と評価軸に関する仮説
2.4. サービス分類に関する試案
3. サービス分類の実際
3.1. Assaelの分類について
3.2. 向対象性を評価軸として
4. 知覚コスト
4.1. サービス間の違いと同一サービス内の個人差
4.2. 同一サービス内の個人差をもたらす要因
5. 知覚リスク
6. 結び
要旨
サービスを提供する企業は価格設定に際して、利用者が意識するコスト(知覚コスト)や利用者が事前に感じる不安(知覚リスク)を考慮する必要がある。ただこの分野の研究は、従来から特定のサービスや特定の企業に関するケーススタディーが中心であり、サービス間で比較することはあまり行われていない。本稿では消費者アンケートに基づき、知覚コスト・知覚リスクに関する実証分析を実施し、体系的・系統的な整理を試みている。
実証分析から得られた知見は以下のとおりである。
- 知覚コストを金銭的コスト、時間的コスト、心理的コストに分けて考えると、その構成比の違いはサービス間以上に、同じサービス内の利用者間において顕著である。知覚リスクも同様に、サービス間に一定の共通性がみられる一方、サービス内の個人差が大きいことが判明した。
- 知覚コスト・知覚リスクの個人差をもたらしている要因を分析すると、性別、年齢、年収といった基本属性よりも、関与、知覚差異、向対象性(当該サービスをある程度時間をかけて享受したいと思うか否か)といった利用者の心的態度が重要な役割を演じていることがわかる。
この結果、サービス価格の設定に際しては、利用者の基本属性以上に、利用者の価値観や心的態度を特定することが重要であるというインプリケーションが得られる。また、多種多様と見られていたサービス間に、知覚コスト・知覚リスクの構成比で共通性が見られたことから、分野の特殊性に注目するだけでなく、サービスの系統的な理解へ向けた一層の努力が必要であると考えられる。
全文はPDFファイルをご参照ください。
PDF サービス・コストに関する一考察
-利用者の視点から- [717KB]
