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競争力低下が著しい国際航空貨物輸送
-望まれる向上への取組み

主任研究員 木村 達也

2008年1月

競争力の低下が著しいわが国の空港、航空会社

国際航空貨物輸送におけるわが国の空港、航空会社の競争力の低下が著しい。まず国際航空貨物の空港別取扱量のランキングをみると、95年までは成田空港が世界のトップであったが、96年には香港に、また06年にはソウル(仁川)に抜かれ3位にまで順位を落としている。この背景には、香港、ソウル(仁川)の約2.5倍に達する高い着陸料、成田では満杯となっている発着枠の制約、夜間利用ができないことがある。

国際航空貨物を輸送するわが国の主要航空会社は、日本航空、日本貨物航空、全日本空輸である。これらの3社は、国際航空貨物の輸送量(重量距離ベース)でみた世界の航空会社のランキングで95年から06年に、日本航空が6位から13位となるなど、いずれも順位が低下している。一方で韓国、シンガポール、香港などアジアの航空会社は、06年に大韓航空が世界のトップとなるなど躍進が目立つ(図表)。このようなアジア諸国・地域の航空会社躍進の背景には、アジアから北米・欧州への、またアジア域内での国際航空貨物輸送量の著しい増加がある。

アジアゲートウェイ構想の目的達成に必要なゲートウェイ空港

5月に安倍内閣により発表されたアジアゲートウェイ構想は、アジアの成長・活力を取り込んだわが国の新たな「創造と成長」の実現を第1の目標としている。またこの構想では、最重要10項目の第1に航空自由化に向けた航空政策の転換が掲げられ、この転換には旅客だけでなく、貨物分野、すなわち国際航空貨物輸送も含んでいる。

国際航空貨物輸送分野で、アジアゲートウェイ構想の目標を達成するためには、国際航空貨物に関するアジアのゲートウェイ空港をわが国に立地させる必要がある。国際航空貨物のゲートウェイ空港については、わが国だけではなく韓国、中国、シンガポールなど他のアジア諸国でも、各国内へ立地を図る動きが盛んである。

ゲートウェイ空港のわが国の国内立地には、①企業の物流センターのわが国への設置など直接投資が促進されること、②日本がアジアの貿易のハブとなり世界的企業のアジア域内本部の立地が容易になること、③ゲートウェイ空港までの輸送に、トラック、鉄道など多様な輸送手段が選択可能になり、わが国企業の物流コストの低減につながること-といったメリットがある。これらのメリットのうち、①、②は国内における生産、雇用の創出につながる。

望まれる競争力向上への取組み

国際航空貨物に関するゲートウェイ空港をわが国に立地させるためには、空港及び航空会社の競争力の低下に歯止めをかけ、反転向上させていく必要がある。

競争力強化に向けた取組みは、航空会社では開始されている。すなわち、わが国の主要3社では従来、貨物専業の日本航空貨物を除き、旅客を主要な事業領域とし、国際航空貨物の取扱いにあまり積極的ではなかった。また日本貨物航空も機材が老朽化し、事業拡大が難しい状況にあった。

しかしアジアの著しい航空貨物の増加の下、全日本空輸は2005年2月に発表した「ANAグループ中期経営戦略(2005~07年度)」において、貨物郵便事業を第3のコアビジネスと位置付け、貨物専用機の増強などに取組んでいる。日本航空も06年から貨物専用機の増加を図るとともに、機材を燃費などが低運航コストのものに入れ替えている。また日本貨物航空は、わが国最大手の海運会社日本郵船の子会社となり、事業拡大への体制を整備している。このように航空3社は競争力の強化を図っているが、06年度末の貨物専用機保有数が3社合計で27機と、大韓航空1社の28機を下回るなど取組みは十分ではなく、一層の対応が必要な状況にある。

空港の競争力については、アジア諸国・地域に比較し高い着陸料には、引き下げの道筋がみえない。また発着枠は10年に、滑走路延伸により成田空港で20万回から22万回に増加するが、増加分の使用は旅客便が中心で貨物専用便は限られたものとみられる。羽田空港でも新滑走路により29.6万回から40.7万回に増加するが、国内線中心の配分で、国際線の3万回も運用はアジアの近距離線に制限される見込みである。ただ関西空港は、07年8月に2本目の滑走路の運用を開始し、発着枠に十分な余裕がある上に、わが国で初めての完全24時間運用空港となった。国際航空貨物面での空港の競争力強化には、この関西空港の利点を生かすなど早急な施策実行が望まれる。

全文はPDFファイルをご参照ください。

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-望まれる向上への取組み
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