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中国における国家と市場の関係に関する考察

上席主任研究員 柯 隆

2007年4月

目次

1.  はじめに-背景と問題意識

2.  「効率化」対「安定重視」の政策選択

3.  中央と地方の関係

4. 財政のサステナビリティ

5. 二元化社会構造の変化

6. 終わりに-結論と展望

補論A: 流動人口に関する考察

補論B: 戸籍管理制度と問題点

要旨

2001年12月、中国は念願の世界貿易機関(WTO)加盟を果たした。それをきっかけに、中国市場が更に開かれるようになっていくと予想される。そして、03年、江沢民・朱鎔基が退き、胡錦濤・温家宝政権が誕生した。それまで競争原理の導入による効率化追求の政権運営に代わり、社会の安定を重視するように、新政権の舵取りは方針転換している。胡錦濤・温家宝政権のカリスマ性不足を背景に、調和の取れた社会作りなど「科学的発展観」が打ち出されている。

しかし、「上に政策あり、下に対策あり」といわれるように、03年から始まった景気引締政策はなかなか地方レベルに浸透しない。中央政府と地方政府の対立と摩擦は単なる政策運営面において見られるだけでなく、財源を巡る争いも長年熾烈なものになっている。

経済成長に政策の重点を置いている政策当局の姿勢は、財政のサステナビリティを悪化させる恐れがある。97年アジア通貨危機以降、経済成長を支えるため、積極的な拡大財政政策が実施されてきた。

「改革・開放」政策以来の30年近い間、中国社会構造が大きく変貌した。かつて、農民と都市部住民からなる二元化社会構造から、トップの富裕層、中間所得層、都市部低所得層と農民からなる多元化社会に変化している。

長期的な観点からみれば、経済のシステムが市場経済化しているなかで、政治体制も徐々に民主主義的なものに変わっていくと思われる。しかし、社会の不安定性から社会主義の看板を下ろすことができない。当面は、「社会主義中国の特徴のある」民主主義体制の構築を進め、社会が安定化し、種々の条件が整った段階で真の民主主義体制の構築が宣言されると予想される。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 中国における国家と市場の関係に関する考察 [377KB]