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サービスを科学するための方法論「サービス工学」

東京大学大学院 工学研究科教授
新井 民夫

2007年4月

製造業のサービス化や環境に配慮した脱物質化の流れの中で、経済活動や人間の活動全般におけるサービスの重要性が増している。サービスはモノと本質的に異なるという指摘がある一方で、モノと共通する特質も多く持っている。サービスを要素還元的な方法で理解しようとすることには確かに限界があるかもしれないが、モデル化のメリットは大きいのではないだろうか。

まず、サービス工学の位置づけだが、(1)分析と設計では設計に重点を置く、つまり工学的な観点から、設計・開発のための方法論を提供することを目的としている、(2)モノとコトは同等の扱いをする-を特徴とする。これに対して、サービス・サイエンスは、コトを中心として扱い、分析と設計には同等の比重を置いていると考えられる。

次に、サービス工学の手法について概観する。最終目的は、サービス設計支援システムの構築である。その前段階として、サービスの表現・解析・評価がある。サービスの表現は、定義・定理・公理の体系である。例えば、サービスの定義は、「サービスの供給者であるプロバイダが、対価を伴って受給者であるレシーバが望む状態変化を引き起こす行為」とする。レシーバの状態はステート・パラメータで表現する。そして、ここではプロバイダとレシーバの二者間関係を定義し、これを連結(マルチエージェント化)することによって、全体を表現する。この意味で、要素還元的なモデルである。

サービス内容はサービセットとして機能単位で表現し、レシーバの状態変化はコンテンツによって引き起こされると考える。コンテンツはその機能を実現するための実現構造を背後に持つものとしてモデル化する。

レシーバの満足評価も重要な要素である。機能・属性ごとに得点を与え、その結合によって全体評価が与えられる。機能・属性ごとの得点は、閾値を持つ満足度関数によって表している。

サービスの表現・解析・評価をモデル化することによって、サービス設計が可能になる。設計手法は、事例データベースに基づくアナロジー推論である。例えば、予約などの促進的サービスは異分野間の共通性が高く、新サービスへの応用が容易である。

現在、サービス・エクスプローラーξ(クシー)と呼ぶサービスCADを開発し、サービス設計支援システムの基礎を構築できたと考えている。今後は、関連分野との協力の下、更に改良を重ねたい。中でも、サービスの対価に関連する価値の論理、評価や満足度に関連する受け手の心理・活動などは研究余地が大きいと考えている。

(編集・文編:株式会社富士通総研)


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PDF サービスを科学するための方法論「サービス工学」 [148KB]