住基ネットの利用促進にむけて
上席主任研究員前川 徹
2007年1月
目次
1. はじめに(財政健全化と行政の情報化)
2. 住民基本台帳と住基ネット
2.1. 住民基本台帳とは
2.2. 住基ネット構築までの経緯
2.3. 住基ネットの仕組み
3. 住基ネットと電子自治体のあり方
3.1. 住基ネットに対する国民の意識
3.2. 情報化と住基ネット
3.3. 韓国ソウル特別市江南区の事例
4. 住基ネットのコストベネフィット試算
4.1. 住基ネットのコストベネフィット試算の必要性
4.2. 試算の前提
4.3. 試算結果
5. 住基ネット利用促進のための提言
5.1. 現行の枠組みでの利用促進
5.2. 住所等の変更届けのワンストップ化
5.3. 国税・地方税、国民年金保険料等の徴収への利用
5.4. 住基ネット上の情報の拡張
5.5. 戸籍ネットワークとの一体運用
6. おわりに
要旨
行政の電子化は、行政事務の効率化や適正化を通じて国民負担の軽減と公平化を実現し、住民サービスを向上させる重要な手段であり、2002年8月にサービスを開始した住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)は、その行政の電子化を支える重要なインフラである。
しかし、多くの国民は、個人情報の漏洩や国家による国民の監視を懸念し、住基ネットは不要だと考えている。それは、住基ネットがどのように利用され、行政事務の効率化や住民サービスの向上にどのくらい役立っているのかが充分に説明されていないからではないだろうか。
そこで、住基ネットのコストベネフィット(経済効果)を、フェーズⅠ(2005年度)とフェーズⅡ(数年後)に分けて試算した。この結果、フェーズⅠで年間183億円、フェーズⅡで年間917億円の経済効果があることが分かった。
住基ネットの構築費用は391億円であり、2005年度の運用費は176億円である。つまり現状で運用費に見合うベネフィットは得られている計算になる。また、数年後には初期投資を含めても、投資以上の効果が得られることが検証できた。ただし、この試算では、行政事務の効率化によって減少する時間をすべて金額に換算しており、住基ネットの効果を現実のものとするには、国や地方公共団体における職員の削減の実現が必要である。
住基ネットから得られる経済効果をより大きくするためには、現行の枠組みの中での利用を拡大すると同時に、住所等の変更手続きのワンストップ化、住基ネットの国税や地方税、国民年金保険料の徴収への活用、住基ネットが扱う情報の拡充などを行うことが望まれる。
(注)この論文に含まれる「住基ネットのコストベネフィット試算」は、情報化推進国民会議の「住基ネットシステムの国民的な理解を求めるための専門部会」において実施したものである。
全文はPDFファイルをご参照ください。
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