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中国における外資企業のR&D活動と日系企業

上席主任研究員金 堅敏

2007年1月

目次

1.  問題の提起

2.  R&D活動国際化の加速と対象地として中国の台頭

2.1.  多国籍企業のR&D活動国際化の動向

2.2.  加速する中国でのR&D活動

3.  中国における多国籍企業のR&D活動

3.1.  中国における多国籍企業のR&D活動の全体像

3.2.  中国における多国籍企業R&D活動加速の背景

3.3.  中国でのR&D活動展開に関する日系企業のジレンマ

4.  日米欧企業の対中R&D活動のケーススタディ

4.1.  対中R&D展開の戦略・目的

4.2.  R&D拠点の組織・人事戦略

4.3. R&D拠点のIPRマネジメント

5.  日系企業への示唆

5.1. 事業拠点の性質により異なる課題

5.2. R&Dセンターの役割を明確にし、それに合わせた人材組織戦略を

5.3. 予防策として制度的な知財保護体制を

5.4. 産学連携モデルの再考を

要旨

1. 2005年の国連の調査によると、海外のR&D拠点が立地している地域として、中国は米国や英国に次ぐ3番目であったが、今後5年間の魅力的な地域として中国はトップとなっている。他方、中国商務省の統計等によると、06年9月現在、外資によって設立されている研究開発拠点が800ヵ所以上ある。ただ、日系企業は、技術漏洩と人材の流出を懸念して本格的な対中国R&D活動を控えている。

2. 本研究は、中国における多国籍企業のR&D活動の実態を明らかにするために現地に設置されている日米欧企業各3社について、ケーススタディを行った。対中R&D進出の目的は、日米欧企業間に大きな差はないが、欧米企業は中国市場戦略と一体化しているのに対して、日系企業ではR&D戦略と市場戦略との連携が薄い。また、R&Dセンターの組織・人事については、現地化や人材戦略の面における違いがある。ただし、各R&Dセンターの離職率は数%~10%前後で高くない。更に、各R&Dセンターとも研究成果の権利化に積極的に取り組んでおり、秘密保持制度も整備されている。知財の侵害や離職による技術流出の被害は確認されていない。

3. 知財侵害や人材流出に伴う技術漏洩が深刻な問題となっておらず、生産・販売などの事業拠点の問題点とR&D拠点の直面する課題を混同すべきでない。人材を引き付けるためには、R&Dセンターの役割を明確にした上でそれに見合った人材・組織戦略が必要である。異なる学歴の持ち主、経験者の組合せ、明るい研究環境が離職率低下のために重要である。また、予防策として、「ヒト」による監視よりも制度的な知財保護体制の確立が欠かせない。「中国は知財保護の実行性が弱い」という先入観を捨て毅然とした事後対策を講じればフェアな結果が得られる。更に、現地での産学連携を目的化せず、コストパフォーマンスの観点から研究成果の帰属戦略を契約にはっきりと反映させるべきである。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 中国における外資企業のR&D活動と日系企業 [484KB]