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米国のインターネット広告とGoogle

上席主任研究員 前川 徹

2006年10月

米国のインターネット広告市場の変化

米国のインターネット広告の業界団体であるIAB(Interactive Advertising Bureau)は、2006年4月20日に2005年の米国インターネット広告市場規模を発表した。これによれば、米国における2005年のインターネット広告市場規模は、前年の96.3億ドルから30.3%増加して125.4億ドルに達した。これは、全米の広告市場全体の4.7%に相当する。ネットバブルが頂点に達した2000年(80.9億ドル)の1.5倍以上、2002年(60.1億ドル)の2倍以上である。

市場規模の拡大以上に変化しているのは、広告の種類別にみた構成比である。この5年間の米国のインターネット広告市場の変化を、広告の種類別にみるとその構成比は大きく変化している。

2000年時点ではバナー広告が全体の47%を占め、次いでスポンサーシップ広告が28%であった。つまり、80.9億ドルの75%に相当する60.7億ドルがバナー広告とスポンサーシップ広告で占められていたことになる。

しかし、2005年の構成比をみると、バナー広告(ディスプレイ広告と名称変更されている)は20%、スポンサーシップ広告は5%と大幅にシェアを落としている。金額でみても、両者を合わせて31.4億ドルと約半分に縮小している。

逆に大幅に伸びたのがサーチ型広告である。サーチ型広告とは、検索エンジンに入力されたキーワードに対応して検索結果のページに表示される検索連動型広告や、提携するウェブページのコンテンツと関連の深いテキスト広告を自動挿入するアドセンス広告などのことである。2000年時点では、広告のターゲット配信の一手法として注目を浴びてはいたが、そのシェアはわずか1%であった。このサーチ型広告が2005年では41%のシェアを占めているのである。(なお、案内広告あるいは三行広告と訳されるクラシファイド広告も2000年の7%から2005年には17%とシェアを拡大している)

Googleの業績拡大

このサーチ型広告を主な収入源としている企業がGoogleである。同社の決算報告とIABのインターネット広告市場データを付き合わせると、米国のサーチ型広告市場の約7割をGoogleが握っていることがわかる。

Googleの2005年の売上高は前年比92.5%増の61.4億ドル、純益は前年の約3.7倍の14億6,500万ドルであるが、この売上のほとんどすべてがインターネット広告収入である。内訳をみると、55%に相当する33.8億ドルを直営サイトにおける検索連動型広告によって得ており、残りのほとんどがアドセンス広告である。

Googleは7月20日に2006年4-6月期の決算を発表しているが、売上高は前年同期比77%増の24.6億ドル、純益は前年同期の2倍以上の7.2億ドルと順調に業績を伸ばしている。

サーチ型広告は、関心を持っていると想定される利用者に対してのみ表示されるため、他の広告に比べて広告効率がよい。また、その広告がクリックされた回数に応じて広告料金を支払えばよいものが多く費用対効果が明確である。こうしたサーチ型広告の持つ特徴が広告主に歓迎され、サーチ型広告のシェアが拡大し、ひいてはGoogleの急速な業績拡大を支えているのである。

放送と通信の融合とGoogleの戦略

インターネット広告市場が伸びる中で、そのシェアを拡大し業績を伸ばしているGoogleであるが、しょせんはインターネット広告を主な収入源としており、その成長には限界があると考える向きもある。

しかし、一方ではGoogleは放送や新聞、雑誌における広告市場も視野に入れているという見方もある。Googleは2006年1月17日にラジオ放送向けに広告を配信するdMarc社を1億200万ドルで買収すると発表している。dMarc社はラジオ局に対して広告枠とスケジュールを設定する機能を、広告主に対しては広告配信実績レポートを配信する機能を持つプラットフォームを提供している。Googleはこのプラットフォームに、広告のターゲット配信技術を組み合わせ、ラジオ広告主の支持を得る計画なのだろう。

また、Googleの狙いは、放送と通信が融合した世界における広告市場全体だという見方もできる。Googleの広告におけるイノベーションの本質は、関心を持つ人に広告を効率的に配信し、新しいメディアのインタラクティブ性を生かして広告主の費用対効果に対する要求に応えるという点にある。放送と通信が融合した世界では、この技術が非常に有効に働くだろう。

実際、Googleは2006年8月7日、Viacom傘下のMTV Networksと広告スポンサー付きのビデオクリップをアドセンス・ネットワークに向けて試験的に配信することで合意したと発表している。

こうした状況を考えれば、インターネット広告市場の拡大とGoogleの業績拡大はしばらく止まることはないだろう。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 米国のインターネット広告とGoogle [146 KB]