中国における企業PR戦略のあり方
上席主任研究員 金 堅敏
2006年10月
目次
1. はじめに:問題提起
2. 中国市場における日系企業の「不祥事」と問題の本質
2.1. 日系企業の「不祥事」
2.2. 中国における多国籍企業関連の「不祥事」
3. 経営戦略手段としてのPR戦略
3.1. 中国で『もっとも尊敬される企業』
3.2. 日系企業の取組み
4. 中国市場における企業の「生態環境」の変化
4.1. 消費主義の台頭
4.2. 多様化するメディア
4.3. 多国籍企業にCSRを求め始めた中国
5. 中国における企業PR戦略の実態:ケーススタディ
5.1. 現地調査の結果
5.2. 日米欧企業・地場企業のPR活動の特徴
5.3. 日系企業のチャレンジ
6. 日系企業への示唆
要旨
中国では、市場経済化が進み、(1)消費者権利意識の台頭、(2)メディア環境の「自由化」、(3)社会的責任(CSR)の重視等を主な原因として、市場における外資企業の「活動環境」は大きく変わってきている。
変化する経営環境の下で、中国における企業PRのあり方を探るために、ケーススタディを行った。対象とした各企業の特徴として、欧米系企業では、(1)PR活動を経営戦略の一環として積極的に展開していること、(2)社内の人的資源等を投入するだけでなくPR会社等の外部資源を活用していること、(3)現地のPRプロを生かすとともに、定量評価を徹底しコスト/パフォーマンスの最大化を図っていること、(4)BtoCだけでなくBtoB企業もPR活動に積極的取り込んでいることが特徴である。日系企業では、(1)製品/技術のPRに重点を置き、企業PRは控え目で防衛的であること、(2)経営のコアではないとして投入が少なく、PR会社等の外資資源活用も限定的であること、(3)現地のプロを生かしていないうえ、PRに対する評価も重視されていないこと、(4)BtoCと比べBtoBのPR活動はあまり行われていないことが判明した。地場有力企業のPR活動のスタイルは、欧米系に近いが、その手法等は洗練されていない。
日系企業の一部は、中国でのPR活動に積極的に取組みはじめている。ただ、その取組みは単発的で制度化されたアプローチは少ない。本研究は、現地調査による現状分析を踏まえて、(1)PR戦略・内容の重層化、(2)統合された組織戦略、(3)現地中心のPR活動、(4)最小限の投入で最大の効果を挙げる方法、(5)PR活動における自社の役割と行動といった視点から日系企業に示唆を提示した。
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