住宅建設・取得に関わる新たなリスク負担の仕組み
主任研究員 米山 秀隆
2006年10月
目次
1. 問題の所在
2. これまでの住宅建設・取得に関わるリスク負担の問題点
2.1. 質が確保されない持ち家の供給システム
2.2. 質が考慮されない賃貸住宅の供給システム
2.3. 偏ったリスク負担の構造
3. 証券化を活用したリスク負担の仕組み
3.1. アメリカにおけるリスク負担の構造:持ち家
3.2. アメリカにおけるリスク負担の構造:賃貸住宅
4. 新たなリスク負担の仕組み
4.1. 目指すべき住宅市場の方向性
4.2. 新たな仕組みの可能性:持ち家
4.3. 新たな仕組みの可能性:賃貸住宅
5. 新たな仕組みを普及させるための課題
要旨
これまでの日本の住宅市場では、住宅の建設・取得に際して、持ち家の場合には消費者、賃貸住宅の場合には建築主である地主が、リスクの多くを負担せざるを得ない仕組みになっていた。持ち家の場合にはそれが供給業者に対し、売り逃げ的な建設、販売を行う誘因を生み、賃貸住宅の場合には、個人の地主は節税目的を達することが重要で、その目的を達する以上のリスクを負担してまで良質な住宅を供給する動機はなきに等しかった。こうした状態が、住宅の質の低下を招く一因になってきたと考えられる。
これに対しアメリカでは、住宅金融について証券化の仕組みが普及し、投資家が資金供給する中、様々な主体が住宅建設に関するリスクを分担し合う構造となっている。住宅市場全体の仕組みの中で、各主体にとって、良質な住宅が供給され、それが長く維持されることが望ましいという状態が形成されている。
日本でも新たな仕組みが形成される素地が既に現れつつあるが、そうした方向性をより一層確かなものにしていくためには、住宅性能表示制度の普及、住宅の履歴情報の蓄積、ノンリコースローンの普及、良質な賃貸住宅供給プロジェクトに対する証券購入を通じた支援などの政策措置が必要である。
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