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成長する中国の電子情報企業

上席主任研究員 金 堅 敏

2006年10月

中国では、「電子情報百強企業」と呼ばれる中国地場電子情報企業の評価ランキングを毎年発表している。2006年5月に2005年の売上高に基づく20回目の電子情報トップ100社が発表された。家電メーカーを主とするこれらの企業は20年の発展を通じて、家電、PC、通信設備、メディア機器、携帯端末など製品の広がりを見せ、中国の電子情報産業の発展に大きな役割を果たした。「電子情報百強企業」を通じて、成長する中国の電子情報企業を検証する。

中国の「電子情報百強企業」評価

中国の「電子情報百強企業」(外資マジョリティ企業を除く)評価は、1986年に始まった。最初の評価基準は、電子製品販売額が全体の60%以上であることと黒字経営であることを条件に売上高に基づくランキングであった。その後、産業政策を反映して、企業経営の収益性を求めたため、1999年は利益額を公表して、2000年には利益額1,000万元以上を条件とし、輸出額やR&D投資額の公表も要求されるようになった。2002年からは情報化投資額も公表された。

2005年には、聯想やTCLのように大型買収や構造調整に伴う黒字確保が困難な有力企業が出たため、黒字という前提を3年連続赤字でなくかつ赤字額が純資産の3分の1以内であることに改められた。このような評価基準の変化は、企業の技術開発、戦略的リストラ、国際経営を促す産業政策の現れである。

中国国内の電子情報製品市場は白熱したグローバル競争が展開されているので、「電子情報百強企業」にランクインするのはそう簡単ではない。実際、評価により毎年15%前後の企業が入れ替わっている。1986年から2005年まで20年間一貫してランキングインを果たした企業はわずか7社で、ランキングから落ちた後再びランキングインを果たした企業は6社あった。

2006年5月31日に発表された第20回(2005年)中国「電子情報百強企業」のトップ3は、PCメーカーの聯想、家電メーカーのハイアール、電子部品メーカーの京東方である。聯想は、2004年にIBMのPC部門の買収で売上規模を大きく増大させた。同じく京東方も韓国や台湾の液晶パネル企業の買収で売上を伸ばした。図表が示すように、聯想とハイアールの2社は飛びぬけて売上が大きく、中国電子情報企業の代表格となっている。

「電子情報百強企業」ランキングの最初の発表から20年の歳月がたったが、その総売上高は、1986年の116億元から2005年の9,643億元にまで拡大した。また、トップ企業の売上高は、86年の5.76億元から2005年の1,082億元にまで拡大し、86年トップの187倍となった。実際、今日のトップ企業の売上高(約132億ドル)は、「フォーチュン500」(2005年実績)のボトムライン137.4億ドルに近づいてきており、近いうちに中国電子情報製造企業の「フォーチュン500」仲間入りが実現すると見込まれる。

図表 2005年中国電子情報企業トップ10の概況【PDF参照】

低下する収益力

「電子情報百強企業」の売上高の急拡大とは裏腹に、利益額は足踏み状態にある。図表が示すように、華為技術を除いてトップ10企業の収益性は非常に低いことがわかる。更に、トップ10のうち、京東方、TCL、上海広電の3社は赤字を計上している。ベンチマークとしているグローバル企業(例:サムソン電子13.2%、ノキア10.6%、シスコ21.6%、デル6.4%など)に遥かに及ばない。因みに、「電子情報百強企業」全体の経常利益率は2000年の6%から2005年の2.6%に低下した。

高まる研究開発意欲

最近、技術力の弱い中国電子情報企業は、研究開発活動に相当注力するようになってきている。2005年「電子情報百強企業」全体の研究開発投入対売上高比は3.7%で、2004年の3.8%より若干低下したが、研究開発額は前年同期比14.6%増加した。研究開発投資対売上高比率で5%を超えた企業は23社、10%を超える企業は4社あった。特許申請をした企業は、2000年では44社であったが、2005年は90社に達した。

技術志向企業の華為科技の研究開発投資対売上高比は一貫して10%以上を維持しており、近年の特許申請数は中国企業のトップに維持し、グローバルベンチマーク企業とも互角の実績を挙げている。例えば、2005年の華為科技のPCT(特許協力条約)ルートの特許申請数は、世界の37番目にランクされ、シスコの212件を越えている。

加速される国際化戦略

図表が示すように、聯想、華為科技、TCL3社の海外売上高比率は50%を超えており、経営の国際化が進んでいる。国際ビジネスが業績拡大に大きく寄与している。今後、中国の電子情報企業による海外での企業買収(M&A)、研究開発や生産拠点の設立が加速されるであろう。実際、ハイアールによる韓国PCメーカーTrigemの買収や京東方の英国でのR&Dセンターの設立などが伝えられている。

ただし、聯想によるIBMのPC部門の買収やTCLによるアルカテール携帯部門とトムソンカラーテレビ部門の買収は実現したが、成功するかどうかは不明である。ハイアールによる米第2位家電メーカーMaytag社や華為による英国Marconi社のM&Aは実現しなかった。中国電子情報企業の国際化の道のりは平坦ではない。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 成長する中国の電子情報企業 [188 KB]