ポスト京都フレームワークに関する定量的評価
上級研究員 濱崎 博
2006年7月
目次
1.序
2.ポスト京都時代の国際枠組み
3.シミュレーションモデルの概要
3.1.動学GTAP-Eモデル
3.2.データベース
4.シミュレーションの内容
4.1.マルチステージ・アプローチ(Multistage Approach)
4.2.技術スタンダード・アプローチ
5.まとめ
要旨
議定書発効により、2013年以降の枠組みに関してさまざまな提言も出始めているが、その多くは定量的な把握に乏しいもので、定量的評価を基にした提言の必要性が高まっている。以上の問題意識より、本研究では代表的なポスト京都フレームワークである、マルチステージ・アプローチと技術スタンダード・アプローチを取り上げ、動学CGEモデルを用いて経済及び環境の両側面より評価を行った。シミュレーション結果によると、マルチステージ・アプローチは、十分な温室効果ガス削減につながらず、日本、カナダ、EUといった京都議定書批准国・地域に対して京都議定書以上の削減義務を負わせることになる。環境の側面からは、非常に狭い範囲の国・地域が削減対象になり、また削減目標を持たない国へのカーボンリーケージが生じるため、気候安定化に必要な十分な排出削減が行われない。経済的側面からは、削減目標を持つ国・地域に非常に高い負担を求めることになり、これらの国・地域経済の停滞を招く。一方、技術スタンダード・アプローチに関しては、今回のシミュレーションでは中国の鉄鋼、化学・ゴム・プラスティックが現在の日本のエネルギー効率を達成するという条件でのシミュレーションではあったが、マルチステージ・アプローチよりも良好な結果を得られた。環境側面からは、カーボンリーケージが大幅に抑えられ、絶対量でもマルチステージ・アプローチよりも多い削減量が達成可能である。更に、対象となる産業・国を拡大することにより、より一層の削減が期待できる。また、経済面においても、わが国への経済影響もマルチステージ・アプローチと比較しても軽微なものとなる。技術スタンダード対象産業・国の拡大により、気候安定化と持続的経済成長の両立が可能性となる。
全文はPDFファイルをご参照ください。
PDF ポスト京都フレームワークに関する定量的評価 [406 KB]
