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中国電子情報産業の最近の状況

上席主任研究員 金 堅敏

2006年7月

要旨

中国では、「情報化が工業化を牽引し、工業化が情報化を促進する」という戦略が推進され、情報化が進展し、情報産業は大きく伸びてきた。2005年に情報産業の付加価値産出はGDPの7.2%を占め、経済成長への貢献度は16.6%に達した。特に、通信サービスを除き、製造業をメインとする電子情報産業は、諸産業の中でもっとも活発な急成長振りを見せている。その付加価値対GDP比は2002年の2.8%から2005年の4.94%までに拡大した。急成長する中国電子情報産業の最近の状況を見る。

2005年の概況

中国情報産業省の統計によると、2005年の電子情報産業の総売上高は、38,411億元(約55兆円)となり、04年比24.8%増となった。近年、中国の電子情報産業はGDP成長率の3倍の高成長率を維持している。売上ベースで、電子情報製品製造業は引き続き機械製造業と冶金業を抑えて、中国鉱工業におけるトップとして位置付けられている。

ただし、付加価値ベースで見ると、2005年同産業の規模は、9,004億元しかなく付加価値率(付加価値額/総売上高×100%)は23.4%しかない。これは、中国の工業全体の付加価値率27.1%より大きく下回っている。このように電子情報産業で見られる急拡大する産業規模と低付加価値構造のギャップは、部品・中間財・資本財を海外に依存している組み立て拠点としての中国の姿を物語っている。

しかし、失業が深刻な中国にとって急拡大する電子情報産業は、新たな雇用を生み出している。中国の電子情報産業の企業数は、0.75万社(2001年)から、1.76万社(03年)を経て、6.7万社(05年)に達しており、うち5.6万社は製造企業である。就業者数は、301万人(2001年)から、408万人(03年)を経て、761万人(内、製造業551万人、05年)に達した。

産業構成、生産・輸出の状況

中国の電子情報産業は主にコンピューター関連、通信設備、電子部品、家庭視聴設備からなっている。2005年は、コンピューター関連産業と電子部品産業が全産業を牽引する力となった。この2業種の成長率(売上げ高ベース)は29%に達しており、全業種の24.8%より4.2%高かった。2005年の電子情報関連投資を見ても、電子部品関連が55%を占めており、投資の伸び率も48.4%に達している。電子部品産業の振興は電子情報産業の付加価値率を高めるために取られた産業政策である。

コンピューター関連産業では、ソフト産業(ソフト製品、システムインテグレーション、ソフトサービスを含む)の成長が著しかった。ソフト産業の売上高は3,900億元(約5.5兆円)に達し、成長率は40.3%となった。電子情報産業におけるウェートは、2001年の6.3%から05年の11.2%にまで高まった。認定済みのソフト企業は11,660社に達し、1年で1,000社以上も増えた。ソフト産業の就業者数は90万人に達している。また、2005年にソフト輸出額は35.9億ドルに達したが、第10次5ヵ年計画の最終目標年である2005年の輸出目標額50億ドルを達成できなかった。

2005年の主要電子情報関連製品の生産量は図表1のとおりである。内外市場の拡大に牽引され、販売対生産比(販売率)は98%以上を維持している。携帯端末、ノートパソコン、カラーディスプレーなどの製品の大部分は輸出されており、中国がグローバルな生産拠点となっている。2005年、中国の電子情報関連製品の輸出入額は、各々2,682億ドル(輸出)、2,206億ドル(輸入)に、また伸び率は、各々29.2%(輸出)、21.9%(輸入)に達した。中国の輸出/輸入総額に占める割合は、各々35.2%(輸出)、33.4(輸入)となっている。また、貿易黒字は476億ドルを計上し、中国の貿易黒字総額1,000億ドルの約半分を稼いでいる。輸出主導産業の性質に変わりはない。

図表1 中国の電子情報関連製品の生産・輸出状況
製品 単位 生産量 伸び率(%) 輸出量
(05年実績)
伸び率(%) 生産量
(06年目標)
携帯端末 万台 30,354 30 22,800 56 34,000
デジタル交換機 万回線 7,721 1.3
移動通信基地局設備 万信道 725 65
カラーテレビ 万台 8,283 11.5 3,975 43.4 9,100
PC 万台 8,084 35.3 4,759 57.7 9,800
内ノートブックPC 万台 4,565 66 4,131 63.3
サーバー 万台 318 88.9
カラーディスプレー 万台 16,058 58.2
IC 億枚 266 12.9 216 33.2 340

2006年の電子情報産業の目標は、売上高、付加価値が各々46,600億元(約68兆円、伸び率21%)、11,000億元(約16兆円、伸び率22%)となっている。全体としては相変わらず強気な拡大路線を貫いているが、輸出・輸入の伸び率は15%前後と低目に設定されている。これは、人民元切上げの影響を見込んだ妥当な判断と言えよう。

更に高まった外資企業の役割

輸出主導に加え外資主導は中国の電子情報産業の大きな特徴である。2005年、外資企業(6,480社、100%外資、合弁企業、合作企業を含む)の売上高、付加価値、利益額、輸出額は各々、24,021億元、5,026億元、822億元、2,341億ドルに達した。中国の電子情報産業に占める割合は、各々77%、77%、77%、87%となり、いずれも2004年よりさらに高まった。うち、100%外資企業(2,241社)が生み出した貿易黒字は、448億ドルで電子情報産業全体の94%を占める。

しかし、外資企業全体の付加価値率は20.9%であり、地場企業の27.6%と大きな格差がある。中国を組み立て拠点として利用する外資企業の戦略に大きな変化はないと見られる。ただし、近年、中国を地域運営センターやR&Dの拠点とする外資企業の動きや電子部品産業への投資も活発になっており、今後外資企業が中国ビジネスの付加価値を高められるかどうか注目される。

全文はPDFファイルをご参照ください。

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