我が国の持続的成長と企業のCSR戦略
主任研究員 生田 孝史 / 主任研究員 峰滝 和典
2006年1月
目次
1.企業活動と社会の持続可能性
1.1. CSRへの関心拡大
1.2. CSRと企業価値
1.3. 社会の持続的成長への寄与
2.環境・安全配慮ビジネスの展開
2.1. 製品・サービス供給戦略
2.2. 製品・サービス価値の例
2.3. 市場拡大の支援
3.労働に関するCSR : IT活用の観点
3.1. 労働に関するCSRの背景と必要性について
3.2. 労働に関するCSRの各分野
3.3. 情報技術革新の観点からの労働CSRに関する分析
3.4. テレワークが開く障がい者の雇用
4.まとめ
要旨
CSR(企業の社会的責任)に対する関心の高まりに伴って、我が国の企業は、非財務報告の充実や対応組織の整備など、CSRへの取組みを急速に進めようとしている。しかし、先行企業でも、リスクマネジメント、コンプライアンス中心の対応となっており、企業の競争優位、ビジネスチャンスの視点が希薄である。社会の持続的成長に寄与する提案力こそ、企業の競争力の源泉であり、環境、安全、家庭、人材といった我が国の持続的成長を脅かす課題に対する解決策の提示が期待される。
社会の持続可能性を高める製品・サービスを供給するために最も重要なことは、持続可能性の視点による製品・サービスの価値の評価である。環境・安全への対応を始めとして、自動車産業やIT産業等では、顧客に価値をアピールできる可能性のある項目が多い。市場拡大のための政策支援として、社会的価値情報の周知、行政による率先購入、国際的な情報発信、広範な研究ネットワークの形成等の検討が望まれる。
家庭・人材への対応につながる労働に関するCSRの中から、従業員の能力向上と多様な雇用形態(テレワーク)に関して、実証分析を行った。その結果、企業の生産性にとって、IT化に伴う社内教育の実施や、テレワークの普及が効果的であることが検証された。このことは、従業員の能力向上や多様な雇用形態(テレワーク)に取り組むことは、企業にとっても重要な価値があることを意味する。
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