マンションの終末期問題と新たな供給方式
主任研究員 米山 秀隆
2006年1月
目次
1.はじめに
2.マンション建て替えの現実
2.1. マンションストック及び老朽化の現状
2.2. これまで行われたマンション建て替え
2.3. 東京におけるマンション建て替えの可能性
2.4. 諸外国におけるマンション終末期の処理
2.5. 日本のマンション事情の特殊性とマンション法制
2.6. 区分所有権の解消という選択肢
3.マンションの新たな供給方式
3.1. 所有から利用へ
3.2. スケルトン定借(つくば方式)
3.3. 定借マンション
3.4. スーパートラストマンション
3.5. 証券化による賃貸マンションの供給
4.良質なマンションストックの形成に向けて
要旨
全国のマンションストックは既に500万戸近くに達しているが、今後はこれらの老朽化が急速に進展していく。老朽マンションの処理については、これまでは建て替えを円滑に進める方向で、政策措置がとられてきた。しかし、容積率を割り増した上、保留床を分譲することによって費用を賄う方法で建て替え可能なマンションは限られている。
今後、建て替えができずスラム化する可能性があるマンションは潜在的に多数あると考えられる。このようなマンションについては、区分所有権を解消し、建物を解体して土地を売却する処理方法が現実的となる。解体費用さえ賄えないマンションも続出する可能性があるが、区分所有権解消の枠組み作りに加え、解体費用の公的支援が必要になる。
このような問題が発生するに至ったのは、そもそも共同住宅を区分所有という形態で保有させるという仕組みに原因があったと考えられる。マンションを区分所有権の分譲で持たせる仕組みは、不動産価格上昇が持続する中、一戸建ての取得がかなわない層にも、持ち家保有のメリットを享受させる仕組みとして機能してきた。しかし現在は、将来の値上がり益は見込めない上、建て替えもままならず、マンションの資産価値は失われている。
もはやマンションを区分所有することのメリットは失われており、それどころか現在では、区分所有権がマンション終末期の処理で足かせになるという弊害が現われている。今後は、分譲マンションに代わる、所有より利用を重視した共同住宅の新たな供給システムを普及させる必要がある。定借マンションや、証券化を活用した賃貸マンションの供給などが考えられるが、今後はこうした仕組みを政策支援していくべきである。
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