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中国における鉄道建設投資体制改革の動き

上席主任研究員 柯 隆

2005年10月

要旨

5月20日、中国の鉄道部は43件の鉄道建設プロジェクトについて投資プロモーションを行い、国内、海外の大手企業、金融機関など80数社がそれに出席した。鉄道部が数十件の鉄道建設プロジェクトを同時に公開して投資誘致を行うのは、建国以来初めてのことであり、国家の鉄道建設投資体制改革の全体政策の実施に先立ち、まず投資体制の改革を皮切りとしたことも意味深い。

背景 - 建設資金不足がきっかけ

2003年から経済の急速な成長に伴い、鉄道輸送力の不足が一層深刻化している。中国の鉄道総延長は世界全体の6%に止まっているものの、鉄道輸送量のシェアは世界の24%を占めている。主要線路の輸送能力が既にフル稼働となっているにもかかわらず、依然として需要に供給が追いつかない。

このため、2004年1月、国務院は「中長期鉄道網建設計画」を発表し、新規鉄道建設と既存鉄道のスピードアップを中心とする発展戦略を策定した。「計画」によれば、2020年までに中国の鉄道総延長は、2003年末の7.3万キロから10万キロに拡張し、鉄道線路建設の投資総額は2兆元に達し、年間1,000億元以上の資金が必要となる見込みである。

しかし、現在巨額の鉄道建設資金の調達については、鉄道建設基金、国債と地方政府投資及び銀行借り入れに頼っている。鉄道部発展建設司(局)の張建平副司長によると、2000年から2004年にかけて、中国の鉄道基礎建設の投資総額は約2,709億元に達した。その内、47%が鉄道建設基金、25%が銀行借入であるのに対し、自己調達は9%未満である。

一方、1991年3月1日から、国務院の許可を得て、鉄道部は貨物運送委託側にトンキロ当たり0.0535元の建設費の徴収を開始し、そのうち0.0415元を鉄道建設基金として蓄えている。これまで年間400億元を集めており、鉄道建設資金の重要な拠出源となっている。しかし、高額の鉄道建設基金の徴収は運送委託側のコストを増大させているとともに、水上運輸、航空運輸との競争力を相対的に弱めている。このため、鉄道部は2005年末までに鉄道建設基金を撤廃する予定である。鉄道建設資金源の確保、調達ルートの拡大は、鉄道建設投資体制改革の喫緊の課題となっており、このほど鉄道部は「政府主導、市場化運営、投資主体の多様化」という改革方針を決めた。

なお、今年2月、国務院は「個人、私営等非公有制経済の発展を推奨・支持・指導することに関する意見」を発表した。鉄道分野について、非公有制資本が、株式保有、合弁、合作、プロジェクトファイナンスなどを通じて参入することが可能となり、鉄道建設投資体制改革のバックボーンとなっている。

現段階における民間資本進出の問題点

このように、民間資本の鉄道建設投資に対する政策制限が取り除かれているが、鉄道運輸管理体制の遅れにより民間投資は遅れている。

中国の鉄道運輸管理制度改革は1986年から始まり、請負制度、資産運用責任制などの改革を行ったが、いずれもそれほど成果をあげていない。2005年3月18日、鉄道部は全国41ヵ所の鉄道分局を廃止し、数十年実施してきた「鉄道部 - 鉄道局 - 鉄道分局 - 駅」という4段階に亘る縦割管理体制を止め、「鉄道部 - 鉄道局 - 駅」の三段階管理に簡素化した。しかし、今回の改革について、国家発展改革委員会運輸研究所の汪鳴副所長は、鉄道部の財務体制の基盤を変えない限り、鉄道局が運輸企業として経営自主権を行使することはできないと指摘している。

現状では、運輸管理体制や政策的要因により、既に民間資本が参加して投資主体の多様化が達成されている合弁鉄道公司においても、計画した経済利益を達成できなかった。現在全国における29社の合弁鉄道公司は32本の路線を経営しており、運行距離数は全国の10.6%を占めているものの、2003年の赤字額は合計7億元を計上した。

しかし、国務院は鉄道運送力不足が極めて深刻となっている現段階で、抜本的な体制改革は実行しにくいと判断しており、年内に鉄道改革の全体方策の実施は期待できない。当面、現行の管理体制を維持することを前提に、いかにして民間資本を誘致できるかについて、鉄道管理者は様々な方策を考えている。2001年から運賃制度を改革し、切符の販売収入や貨物輸送収入を、従来の「集中分配」に代わって、経営する鉄道局、またはサービスを提供する機関に託することとした。

今後の動向

WTO加盟時のコミットメントに従い、中国は、2003年から鉄道貨物輸送企業への外資の資本参加を認め、2004年から外資がマジョリティを持つことを承認、更に2006年からは鉄道貨物運輸業の全面開放を実施する。05年6月、山東省国有資産管理局は6本の地方鉄道建設の外資導入計画を公表した。その内、臨 - 沂水等の3件について、100%外資による建設を許可し、2件は外資に所有権を譲渡することとしている。このように鉄道建設、路線運営の民間資本、外資への開放は大勢の赴くところとなっている。このため、鉄道運輸管理体制の改革も相応に行わなければならなくなっており、株式制度改革はその一部分である。すなわち今後、鉄道部が利益率の高い既存鉄道優良資産についてリアロケーション(再配置)を行い、株式会社を設立して上場させ、上場企業の株式公開や増資、株式増配を通じて鉄道建設資金を調達することとなろう。

しかし、鉄道建設が外資に開放されるとはいえ、資金難の問題や非効率な経営といった問題が解決される訳ではない。第1に、鉄道行政と鉄道企業の透明性が確保されておらず、抜本的な経営改善とサービスの向上は期待できない。第2に、外資からの資金調達について、外資による経営への参画は認められておらず、その資金の返済プランですら明確に提示されていない。第3に、何よりも鉄道運営の成績を悪化させている政府行政による経営への干渉は今回の改革で触れられていない。このままでは、外資や国内の民間資本は安心して鉄道建設に参入することはできない。

全文はPDFファイルをご参照ください。

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