企業のサステナビリティとCSRの真の課題 - 特別企画コンファレンス -
特別企画コンファレンス『企業のサステナビリティとCSRの真の課題』が、5月16日(月曜日)経団連会館で開催された。本コンファレンスは基調講演、研究報告、パネルディスカッションの三部構成で行われた。
第一部の基調講演ではサステナビリティ社代表のジョン・エルキントン氏が「CSRバブルの後に何が来るのか」と題し講演、第二部の研究報告では当社研究員(生田・峰滝)が「我が国の持続的成長と企業戦略」について発表した。第三部のパネルディスカッションでは、株式会社資生堂 取締役執行役員 岩田喜美枝氏、イオン株式会社 環境・社会貢献部長 上山靜一氏、富士通株式会社 経営執行役法務・知的財産本部長 加藤幹之氏、トヨタ自動車株式会社 理事 環境部長の益田清氏によるプレゼンテーションのあと、ジョン・エルキントン氏がそれぞれにコメントした(コーディネータ : 富士通総研 経済研究所理事長 島田晴雄)。
第一部の基調講演では、ジョン・エルキントン氏がCSRを4つの観点から論じた。バランスシート(Balance Sheets)、取締役会(Boards)、ブランド(Brands)、ビジネスモデル(Business Models)であり、企業価値の4つのBと名づけた(詳細は後述)。
第二部の研究報告では、生田が背景・問題意識として、企業の社会的責任(CSR)への関心が拡大しCSRへの取り組みが急速に増加していることについて述べ、環境・安全配慮ビジネスの展開について、自動車産業・食品関連産業・情報技術産業を例に議論を展開した。具体的には(1)自動車産業では、環境品質面で日本企業が高い国際競争力を持っており、特にハイブリッド車では米国市場の9割が日本車であること、(2)食品関連産業については、量販店の食品PB戦略の中で安全・環境配慮要素が重要になっていること、(3)情報技術産業については、運行管理システム導入の効果について発表した。
続いて峰滝は、人材・家庭面の対応、特に情報技術革新の観点から労働とCSRについて、人的資本の形成やテレワークの普及が企業の生産性にとってプラスの効果があることや、テレワーク利用によるチャレンジド(障がい者)の雇用増加をもたらすと主張した。
第三部のパネルディスカッションでは、まず岩田氏が、CSRは法令遵守や高品質な商品・サービス提供などの基本的CSRと、企業価値を高めることを可能にする戦略的CSRに分けられ、戦略的CSRの領域では化粧品企業であるから期待されている資生堂らしいCSR活動を行っていることを述べた。具体的な活動例として、顔にあざのある方や火傷その他で大きな傷ができてしまわれた方のために開発を行ったセラピーメーキャップや、出産・育児と仕事の両立支援に関する事例(妊娠中も安心して働ける職場環境づくり・事業所内託児所・育児休業が取得しやすい環境整備・男性の育児参加促進・子供看護休暇制度の導入)や、女性社員の経営参加の加速、そして高齢者施設において化粧サービスを行っている活動を50年以上続けていること、高齢者施設の事例ではお年寄りが生き生きしてきたケースも多数あることなどを紹介した。
上山氏は、イオンのCSRを要約すると、いかに本業のビジネスプロセスの中にCSRを体内化していくかということ、顧客・株主・従業員といったステークホルダーとの連携でいかに企業を変革していくかということの2点になると述べた。具体的な事例として、(1)10年前から子供を対象にしたエコクッキング・田んぼの生き物調査などのエコクラブ活動を行っていること、(2)毎月11日をイオン・デーとし、この日に限り、買い物をした客が地域で活動しているNPO・ボランティア団体・市民団体などに投票を行うことで、地域の活動を支援することを紹介した。このような市民と地域活動を行う団体の新しいリレーションが更に発展する事例として、(3)音楽で子どもたちの病気を治すという活動を行ってきた団体が注目され、インターネット上の情報に対して全国からアクセスされて、その運動自体が非常に大きな広がりとなったことを紹介した。
加藤氏は、インターネットなどの情報化の技術が更に進めば、企業や政府の役割や、市民が企業や政府に求めることが変わり、それに伴いCSRが更に変わっていくと述べた。例えば、ソフトウェアに関して著作権を主張するのではなく、皆がお互いに使えるようにしようというオープンソース化の動きは、企業のあり方を考える上で新しい事例であると主張した。また若い人々が、エキスパート中心となり自己充実を求めるということになってくれば、企業も変わってくる可能性があると指摘した。
益田氏は、CSRを地球・社会の持続性のために、トヨタとして事業活動の中でどのように貢献するのかという観点で位置づけているとした。生産環境という意味では、全世界の自動車メーカーの中で、トヨタは最も生産環境効率のよい生産をし、環境負荷の少ない生産をするという取り組みを進めており、環境分野におけるユニークな取り組みとしてトヨタ白川郷自然學校を紹介した。これはトヨタが30数年前に岐阜県の白川村で取得し、そのまま手つかずに置いていた山林に近い自然の中で、100名程度の自然環境教育の体験プログラムを受けることができる施設である。また、ファミリーフレンドリー施策という意味では、特に、仕事と育児、従業員の家族とのコミュニケーションを重要視しており、大卒事務職の女性の採用比率が最近では35%程度になったと述べた。
『企業のサステナビリティとCSRの真の課題』プログラム
| 13時30分~13時40分 | 開会挨拶 |
| 経済研究所 理事長 島田 晴雄 | |
| 基調講演 | |
| 13時40分~14時25分 | CSRバブルの後に何がくるのか“What Comes After the CSR Bubble?” |
| サステナビリティ社代表 ジョン・エルキントン | |
| 研究報告 | |
| 14時25分~15時15分 | 我が国の持続的成長と企業戦略 |
| 主任研究員 生田 孝史 主任研究員 峰滝 和典 |
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| 15時15分~15時30分 | 休 憩 |
| パネルディスカッション | |
| 15時30分~17時 | 企業のサステナビリティとCSRの真の課題 |
| ≪パネラー≫ | |
| サステナビリティ社代表 ジョン・エルキントン (株)資生堂 取締役執行役員 岩田 喜美枝 イオン(株) 環境・社会貢献部長 上山 靜一 富士通(株) 経営執行役 法務・知的財産本部長 加藤 幹之 トヨタ自動車(株) 理事 環境部長 益田 清 |
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| ≪コーディネーター≫ | |
| 経済研究所 理事長 島田 晴雄 | |
| 17時~17時5分 | 閉会挨拶 |
| 会長 高島 章 |
全文はPDFファイルをご参照ください。
PDF 企業のサステナビリティとCSRの真の課題 - 特別企画コンファレンス - [173 KB]
