競争優位のアウトソーシング - 情報システム -
主任研究員 浜屋 敏
2005年7月
目次
1.背景と問題意識
1.1.ISアウトソーシングの歴史
1.2.研究の問題意識
2.調査の概要
2.1.調査項目
2.2.サンプルの特徴
3.ISアウトソーシングの状況
3.1.メリットとデメリット
3.2.実施状況
3.3.事前と事後のギャップ
4.アウトソーシングの経営課題への貢献度に影響を与える要因
4.1.経営貢献度に関する現状
4.2.経営貢献度に直接的な影響を与える要因
4.3.経営貢献度に間接的な影響を与える要因
5.まとめとインプリケーション
要旨
1.アウトソーシングは競争優位を高める可能性を持っているが、業務プロセスの模倣困難性を喪失させ、同業他社との差別化を困難にする結果、競争優位の向上は一時的にとどまるか、むしろ低下する可能性がある。本稿の目的は、アンケート調査に基づく分析から、情報システム(IS)のアウトソーシングが、情報システム関連の業務だけでなく企業全体の経営課題の解決に貢献する条件を明らかにすることにある。
2.2003年9月に実施した調査の結果の分析からわかったことは、まず、ISアウトソーシングの経営課題への貢献度に影響を与える要因として、(1)IT(情報通信技術)の経営的な位置づけ、(2)アウトソーシングに伴う事業・業務の見直し、(3)委託先選別の程度、という3つの変数が効いているということであった。つぎに、これら3つの変数に影響を与える要因として、(1)経営陣のITに対する関心、(2)委託先との資本関係の有無、(3)委託元企業のIS企画の能力、という3種類の変数が抽出された。
3.以上のような分析から得られる実務的な意味として、アウトソーシングを短期的な効果だけでなく持続的な競争優位に結びつけるためには、アウトソーシングと同時に、企業活動におけるITの位置づけを高め、事前の事業・業務の見直しを行い、委託先を厳密に選別する必要があることを示すことができた。そしてそのためには、システム企画能力の向上や経営陣のコミットメントといった企業の資源・能力レベルでの改善が効果的であることが明らかになった。
*本稿は、富士通総研と早稲田大学IT戦略研究所による共同アンケート調査に基づく研究から作成された。
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