デジタル家電の成長戦略
主席研究員 安部 忠彦
2005年4月
目次
1.はじめに
2.デジタル家電成長の実態
2.1.デジタル家電とは
2.2.デジタル家電成長の実態
3.デジタル家電の製品特性・生産特性
3.1.デジタル家電と他電子機器製品との製品特性の違い
3.2.デジタル家電と他製品の生産状況
4.デジタル家電の成長懸念
4.1.アナログ製品の代替市場を越えた成長が可能か
4.2.EMSやアジア企業との価格競争
4.3.ネットワーク結合による影響
4.4.設備投資競争からの脱落、サポーティング産業の海外分散
4.5.デジタル家電分野への情報処理型製品企業の参入
5.デジタル家電の競争力維持に向けて
5.1.囲い込みから標準化へ
5.2.標準品の1社独占を防ぐ
5.3.国や自治体の支援と企業再編
5.4.知財戦略の強化
5.5.参入する情報処理型製品企業への対策
5.6.代替市場を越えた発展のために
要旨
1.近年、薄型TV、DVD、デジタルカメラから成るデジタル家電が、日系企業の高い世界市場シュアを伴って急成長している。日本企業の国内工場での設備投資や雇用も増加し、日本経済牽引への期待が高まっている。
2.しかし今後のデジタル家電の成長については幾つかの不安がある。アナログ製品の代替機能だけでは市場が飽和し易いのではないか、基幹部品のデジタル化や標準化が進めば低価格のアジア製品に市場を奪われないか、基幹半導体とソフトウエアを海外有力企業に独占され利益の低い製品にならないか、表示パネルなどで巨額の設備投資力を誇るアジア企業にシェアを取られないか、サポーティング産業を維持し、海外への対価なき技術流出を阻止できるのか、国内企業の価格競争で低利益商売にならないかなどである。
3.このため今後デジタル家電では、(1)システムLSIなど基幹部品を自ら先導的に標準化しつつ、その外販や搭載完成品のOEMで開発や設備投資の費用を回収する、(2)フォーラムを活用し有力企業と共同で基幹部品やソフトウエアを標準化し、社外独占企業への過度なライセンス料の流出を避ける、(3)国や地域自治体による日本のトップランナー企業へのサポートで国内生産を支援し、サポーティング産業の海外技術流出も最小限に食い止める、(4)特許とノウハウのブラックボックス化で独自技術を守り、重要な技能・ノウハウを持つ社員の処遇を高め技能の海外流出を防ぎ技術の差別性を維持する、(5)ブロードバンドネットワークを通した動画像など著作権を保護したキラーコンテンツの配信や発信によるデジタル家電の新たな機能付加による新需要の掘り起こすといった戦略が求められる。こうした努力で、デジタル家電の市場を日本企業が先導しつつ、優位性を持って長期的に育成する必要がある。
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