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社会保障財源としての相続税改革の方向 - 相続課税の強化、遺産課税の新設シミュレーション -

上級研究員 渥美 由喜

2005年4月

目次

1.はじめに
2.高齢者関連の社会保障費の増加
2.1.社会保障費は一貫して増加
2.2.高齢者関連が占める割合の増加
2.3.高齢者関連の社会保障費の将来見通し
3.老親扶養と相続
3.1.老親扶養の対価としての相続
3.2.老親扶養の社会化と相続資産の社会的還元
4.社会保障財源としての相続資産の活用
4.1.相続税制の再設計
4.2.相続税制改革シミュレーション
4.3.社会保障財源への改革効果のシミュレーション
5.おわりに
【付1】介護費用の試算方法
【付2】相続税収の試算方法

要旨

1.本稿では、社会保障財源として相続資産に着目した。というのも、これまで相続は人々から「老親扶養の対価」とみなされてきた。しかしながら、近年、子供が自分の老親を扶養する代わりに、社会全体で扶養するようになってきている。老親扶養の社会化が進んでいるのだから、相続の一部を社会的還元すべきと考えられる。

2.他方で、現行の相続税制は課税最低限が高いため、相続が発生した世帯のうち、大半が非課税である。このままでは、老親扶養が社会化しているにもかかわらず、相続資産の受益はこれまで通り個人が受けとってしまう。現在の高齢者の大半は年金で過剰給付(拠出した保険料を大幅に上回る給付)を受け取っている。過剰給付の一部が資産化している可能性がある。資産化した過剰給付が相続を通じて、子世代へと移転してしまう点が懸念される。なぜなら、高齢者世代の大きな資産格差が子世代の資産格差へと継承されるのは、公平性の観点から問題があるからである。

3.そこで、高齢者は社会保障制度の受益者であるという観点を加味して相続税制を再設計する必要がある。第一の方策として、相続税課税を強化した場合(新たに最低税率5%)、将来の増収分は、2030年で3.0兆円と推計される。第二の方策として、遺産課税を新設した場合(高齢者各人の過剰給付を死亡時に精算)、同9.0兆円と推計される。今後、新たな社会保障財源を模索していく中で、相続資産の一部還元は有力な選択肢と考える。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 社会保障財源としての相続税改革の方向 - 相続課税の強化、遺産課税の新設シミュレーション - [340 KB]