アジアの経済発展とエネルギー制約
主席研究員 武石 礼司
2005年1月
目次
はじめに
I.アジア諸国のエネルギー需給
1.アジア諸国のエネルギー消費(2003年)
2.アジア諸国のエネルギー需要推移と予測
II.将来予測と対応策
1.対応事例(1) : アジアの石化製品の需要増への対応
2.対応事例(2) : 石油開発における中東産油国の契約条件の厳しさ : イランのバイバック契約取り分を参考例として
3.対応事例(3) : エネルギーの規制緩和 : 市場化への対応
4.対応事例(4) : エネルギー価格差への対応 : 電力価格差が存在、国内向けと国外向けを使い分ける必要
III.まとめと政策課題
1.アジアにおける企業戦略の今後の方向性
2.アジアにおける日本政府の政策のあり方 - エネルギー分野を中心として
要旨
1.アジアのエネルギー需給
アジア諸国のエネルギー消費量は、中国をはじめとして各国で急増中である。今後もエネルギー消費量は増え続け、日本を除くアジア各国において、2020年には2000年に比べて倍増すると予測される。
2.将来予測と企業の対応策
(1) アジアにおけるWIN - WIN関係の可能性
アジアでは素材系の産業(石油化学、鉄鋼、石油製品等)において製品需要が増大し、日本、中国、その他アジアの各国において、拡大するマーケットの中でWIN - WINの関係を築ける可能性がある。
(2) 石油の中東依存度拡大
アジア諸国の石油消費量が増え、中東からの輸入依存度が拡大することは大きな問題であるが、中東への石油及びガス開発に日本が進出しないとアジアへの供給が滞るとはならない。日本、中国、韓国は、共通の利害に立つとの認識の下、各国政府は情報交換を深め、一致して中東諸国との交渉に当たるべきである。
(3) エネルギー分野での規制緩和
アジア諸国では、日本を上回る早さでエネルギー分野での規制緩和が進められており、自国での規制緩和に基づく実績を上げていないと、アジア諸国でのエネルギー分野での受注ができない場面も出てきている。日本におけるエネルギー分野をはじめとした、既存の規制をできるだけ緩和させていく措置を、前倒しで進める必要性がある。
(4) エネルギー価格差の意味
電力価格を例にとって見ると、日本の電力価格は工業用及び民生用がともに世界有数の高さとなっている。しかし、購買力平価で換算し直して見ると、むしろ中国、タイ、インド、インドネシア等のアジア諸国の電力価格が高くなっている。製造業においては、輸出向けか、これらの諸国の国内向けか、販売先別に製造場所と製品内容を考えていく必要があり、一方的に日本の製造業が空洞化する可能性を危惧する状況ではなくなっている。
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