知覚リスクと消費態度
- アンケート調査に基づく実証分析
主任研究員 長島 直樹
2004年10月
目次
はじめに
I.先行研究について
II.リスクファクターの内容と実態
III.リスクファクターと消費態度の関係
IV.ダウンサイドリスクの内容
V.結論
VI.政策へのインプリケーション
VII.今後の課題
要旨
1.家計が知覚するリスクファクターをダウンサイドリスク、変動リスク、不確実性、及び経済外リスクに4分類し、それぞれが消費態度に及ぼす影響を探った。データは2003年11月時点に実施したアンケート調査に基づいている。結論は以下のとおりである。第15回フォーラム『日本と中国:新たな経済関係の構築へ向けて』2.全体的に見ると消費態度に対して大きな影響力を持つのはダウンサイドリスクである。不確実性も中高年を中心に消費抑制効果を持っている。変動リスクには消費への負の影響は見られなかった。また、経済外リスクには消費押し上げ効果を示唆するケースもあった。第15回フォーラム『日本と中国:新たな経済関係の構築へ向けて』3.ダウンサイドリスクは健康・社会保障関連と賃金・雇用関連の2つに集約できる。前者は年齢が高くなるほど、また所得が低いほど大きい。後者は20代から40代にかけてじわじわと上昇し、50代以降急速に低下する。また、中間所得者層で深刻である。第15回フォーラム『日本と中国:新たな経済関係の構築へ向けて』年齢層別に推定すると、若中年層(20~44歳)では、賃金・雇用関連のダウンサイドリスクが大きいと消費態度が弱くなる。その影響は選択的消費で顕著に現れる。中高年層(45~69歳)ではダウンサイドリスクは2種類とも消費態度に大きな影響を及ぼしていない。むしろ、不確実性の存在が選択的消費を抑制する影響が強い。年金制度などに対する不確実性を強く知覚する様子が推測される。第15回フォーラム『日本と中国:新たな経済関係の構築へ向けて』4.若年雇用や年金制度の信頼性は、社会の安定性や制度・システムの持続性等の観点から、それ自身が連日メディアを賑わす大きな問題である。しかし、消費態度の観点からも重要性が確認されたことになる。
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