中国環境ビジネスの市場性と日系企業
主任研究員 金 堅敏
2004年7月
目次
はじめに
I.環境汚染の深刻化と環境ビジネス市場
1.飽和する日本等の先進国市場
2.拡大する中国市場
3.中国環境ビジネス市場成立の背景 : 環境汚染の深刻化
II.中国環境ビジネス市場成立の政策基盤
1.中国政府の取組み
2.投資資金の需要と調達
3.資金調達の課題
4.産業化・市場化に向けた政策推進
III.対中国環境ビジネスの戦略的展開
1.中国環境ビジネス市場の中期展望
2.対中国環境ビジネスの課題
3.対中ビジネスの戦略展開
IV.終わりに : 公的サポート体制の再構築を
要旨
1.1990年代に入り、日本を含め先進国の環境ビジネス市場は飽和状態になってきた。供給過剰で各社の経営は厳しさを増している。他方、中国では、止まらぬ人口増加、高度経済成長に伴う経済活動の活発化、原材料・エネルギー消費の急速な拡大、資源・エネルギー利用効率の低さ等の指標は、いずれも環境悪化の方向に働いている。このような環境の悪化が環境対策の加速や環境投資の拡大を促し、環境ビジネス市場は年平均15%以上の伸び率で成長している。
2.現在、実施されている中国の『十・五』環境計画における主要汚染物質対策目標は10%以上の削減と高く設定されているが、2002年の実績で検証すると、高度な技術や多額の投資が要求される脱硫問題や都市生活廃水処理問題がネックになっている。中国政府は、環境対策投資資金の不足問題を解消するため、これまでの環境規制を強化するとともに、経済的手法による環境対策に政策の重点を移し、環境事業を収益のあがるビジネスとして主体を政府から民間セクターに譲る制度的な枠組みの整備を加速させている。
3.環境ビジネスの市場性について、現地で最も評価されているビジネス分野は、水処理・ゴミ処理設備、消耗品としての薬品類、続いて大気汚染防止設備、環境測定・汚染物質測定機器がある。しかし、日系企業に対するヒアリングによると、中国環境ビジネス市場は付加価値が低いうえ、環境規制が緩く、日系企業の高い技術力による優位性が発揮できない等の理由で、中国の環境ビジネス市場において多くは苦戦している。
4.しかし、日本の技術力と中国の市場の接点を見つけ出せば、日本企業の環境技術やノウハウが中国の環境保護舞台で大いに活用できると考える。成功するためには、[1]強みを生かせる事業戦略の推進、[2]支払能力のある地域へのアプローチ、[3]現地化推進等の競争戦略の練り直し、[4]トータルソリューションベンダーへの脱皮、[5]現地市場の適合性検証等が重要であり、企業に対する市場志向型の公的サポートが必要である。
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