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中国企業の技術力に関する一考察

主任研究員 金 堅敏

2004年4月

目次


はじめに
I.中国製造業のダイナミズムと限界
1.中国製造業の量的拡大
2.中国製造業の低付加価値構造
II.中国の技術力の実態
1.中国の技術革新能力
2.排他的権利を与える知的財産権
3.現場の技術力
III.中国のイノベーションシステムの構造
1.低い投資プライオリティ
2.国有部門主導のイノベーションシステム
3.脆弱な社会基盤
IV.動き出した中国的知的財産権戦略
1.中国当局の取組み
2.技術志向企業の出現
V.中国の技術力の将来展望と日本への示唆
1.中国の技術力の将来展望
2.日本への示唆

要旨

1990年代の中国の輸出量や輸出製品構成の変化から見られる産業のダイナミズムは、基本的に量的な拡大に止まり、付加価値率は低い。これは、内外資企業を問わず確認できる。このような低付加価値現象は、非効率な経済制度や企業システムによって生じている側面もあるが、本質的には貧弱な技術革新の結果であると考えられる。

国連開発計画は、技術創造、新技術の普及、旧来技術の普及、技能能力の4つの側面に焦点を当てて中国を含め各国の技術革新能力を評価したが、中国は新技術を吸収して新規産業を育成する点しか評価されなかった。実際、中国国内では、排他的な権利が与えられる特許(発明、実用新案、意匠を含む)登録件数の70%は外国によるものであり、中国による米国への登録数も日本の約2%しかない。また、中国企業の現場の技術力に対する日系企業の評価も、東南アジア諸国と同程度のものしかない。

中国では、(1)技術開発投資に対するプライオリティの低さ(「箱物」重視の体質)、(2)国有部門主導のイノベーションシステム、(3)知的財産権保護意識の弱さや技術開発のサポーティング基盤の未整備等の問題が、長期にわたって存在している。しかし、WTO加盟を契機に、中国では、技術力の弱さを克服するため、(1)研究リソースの拡充、(2)研究成果の「知財化」・「産業化」、(3)知財侵害への取締まり強化、といった知的財産権戦略が動き出した。一部の中国企業も、(1)技術開発投資の拡大、(2)技術導入の加速、(3)内外人材活用への重視等で技術志向型企業への脱皮を図っている。

中国の技術力の将来性については、技術の連続性がないバイオやソフト等の技術開発に、個別的に突破する可能性があっても、技術創造の全面開花は難しいと考えられる。日本への示唆としては、(1)中国のR&D人材やR&D開発組織の活用、(2)技術管理を強化したうえでの対中技術移転ビジネスの展開、(3)中国で生まれた新技術や新発見の日本における事業化の奨励等が挙げられる。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 中国企業の技術力に関する一考察 [631 KB]