なぜ企業の研究開発投資が利益に結びつきにくいのか
主席研究員 安部 忠彦
2004年1月
目次
はじめに
I.低下した企業の研究開発投資効率
II.研究開発投資効率低下の問題の所在
1.研究開発投資効率低下分析の先行調査例
2.アンケート調査の概要
3.投資効率低下問題の所在
III.投資効率低下の理由
1.投資効率低下の背景
2.研究開発投資効率低下の理由
IV.今後の対応
1.研究開発投資を製品や利益に結びつける方策
2.重要な経営トップの役割
3.今後の方策
おわりに
要旨
企業の研究開発投資効率の低下が問題視されている。投資効率低下に関しては、研究開発投資が製品に結びつかないことが問題視されがちだ。しかしより本質的な問題は、製品には結びつくが利益に結びつきにくくなっていることにある。
研究開発投資が利益に結びつきにくくなった背景としては、事業部の製品化においてそのスピードアップ要請が強まり、IT製品中心に社外からキーデバイスを購入するケースが増加するなど自社でコア技術を獲得し対応するのが難しくなりつつあること、また新たなビジネスモデル構築などが重要視されていないことなど、全社の利益獲得にとって重要とされる手段にまで手が回りにくくなっていることがある。
同時に利益に結びつきにくくなった理由としては、研究開発マネジメント面よりも、企業アイデンティティの不明確さやコア技術の弱さなど個々の経営・事業戦略や技術戦略の問題、更に3つの戦略間での統合性の少なさがある。
研究開発投資効率の向上には、コア・コンピタンスの明確化による製品の特化やシナジー効果のある製品群への絞込みと同時に、製品に用いる技術の融合化による差別化の強化、スピード要請への過剰対応でキーデバイスを手放すのでなく、コア技術の強化によるキーデバイスの維持、更に技術の秘匿や生産技術の強化など企業に蓄積されたクローズな技術活用による差別化が必要になる。
いずれにしても、今後研究開発投資を利益に結びつけるには、企業のCEOやCTOなど経営トップ層の役割が大きくなる。
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