富士通総研

不安と消費

主任研究員 長島 直樹

2004年1月

目次


はじめに
I.将来不安の構造 : 不安の5大要因と2つの次元
1.不安の種類と組み合わせ
2.不安の集約化 : 数量化III類の適用
II.不安と消費 : 不安心理の直接効果
1.ダウンサイドリスクと不確実性
2.キーワードは「雇用・賃金系不安」、「選択的消費」、「若年層」
3.Rank Logit Modelによる分析
4.共分散構造モデルによる分析
III.不安心理の間接効果
1.期待インフレ効果への影響
2.政策評価への影響
IV.むすび

要旨

不安心理と消費に関して両者の関連が繰り返し指摘されるものの、実証研究の蓄積は薄い。「将来不安と消費者行動」(長島、2003b)は1,000人の消費者に対するアンケート調査に基づいて、不安の内容を整理し、消費との関連を探ったものである。その結果、「不安と消費の関連が必ずしも直線的なものではない」という結論に達している。本稿では、更に不安の構造的な理解を試みた上で、いかなる不安がいかなる消費に影響するのか、そしていかなる消費者においてその影響が顕著なのか分析した。

結論は以下のとおりである。

各種の不安を個別に考えるだけでなく、相互の関連に注目すると系統的な理解が可能になる。5種類の不安の有無に対して、数量化III類を使うと、「第1軸=健康・年金系不安軸」、「第2軸=賃金・雇用系不安軸」の2つの軸(次元)を抽出することができる。第1軸は中高年層で、第2軸は若年層において不安度が高い。
「不安心理が消費を抑制する」経路は、特に若年層の選択的消費において顕著に観察される。一方、中高年層ではこの関係は検出されない。また、不安の中では第2軸に相当する賃金・雇用系不安が主導的な役割を果たしていることがわかる

不安は消費に直接影響する直接効果のほか、消費パラメーターや政策評価に影響を及ぼす間接効果を持つ。例えば、不安が期待インフレに伴う消費前倒し効果を減殺したり、経済政策に対する評価をネガティブにする傾向が見られる。間接効果も若年層において顕著であり、中高年層には見られない。また、間接効果では直接効果とは逆に、健康・年金系不安が主導的な役割を果たすことがわかった。

全文はPDFファイルをご参照ください。

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