対中投資は台湾企業に学べ
- 台湾企業の対中投資の実態と成功要因
上席主任研究員 朱 炎
2003年7月
目次
I.台湾企業の対中投資の実態
1.対中投資の推移
2.対中投資の実際の規模
3.台湾の対外投資における対中投資
4.上場企業の対中投資
II.在中国台湾企業のプレゼンス
1.地域分布 : 2大地域に集中する企業立地
2.産業分布 : 伝統産業と電子電機に集中
III.台湾企業の対中戦略と中国での経営実態
1.投資目的 : コスト削減と市場獲得
2.経営と現地生産のパターン
3.中国子会社と台湾本社の役割分担
4.中国での発展を目指して
5.台湾企業の対中投資の業績
IV.対中投資に及ぼす政策の影響
1.経済交流を促進する中国の政策
2.制限から規制緩和へ変化する台湾の政策
3.台湾の産業空洞化とその対策
V.対中投資における日台企業の協力関係
1.対中投資の日台アライアンス
2.日台中の新しいビジネスモデル
VI.台湾企業の対中投資の将来展望
要旨
1.台湾企業の対中投資は90年代以降急増し、中国における台湾企業のプレゼンスは大きくなっている。台湾の対外投資のなかで中国は最大の投資先になっており、中小企業のみならず、大手上場企業も大規模な対中投資を展開している。
2.対中投資は、地域的にはおもに華南と華東に集中し、産業別では、製造業が圧倒的に多い。製造業のなかでは、投資分野が労働集約的産業から技術・資本集約的産業に転換され、IT産業は最大のシェアを占めるようになっている。
3.台湾企業の対中投資の主な目的は、コスト削減、市場獲得、国内外の顧客企業の投資活動への追随である。中国における台湾企業の経営には、労働力の活用、輸出志向、有利な経営形態、台湾企業同士での部品供給、台湾本社との分業、などの特徴がみられる。最近では、多くの台湾企業は、中国での発展を目指して、ヒト、モノ、カネと技術の面で現地化に努力している。このような経営努力のもとで、中国に進出した台湾企業の多くは、大きな利益を上げ、成功を収めている。
4.中台間の政治関係や、経済関係に対する双方の政策は、台湾企業の対中投資や、中国での企業経営にさまざまな影響を及ぼしている。中国は、基本的に台湾の対中投資を奨励し、企業の経営環境改善に努める政策を実施しているが、台湾は政治的な考慮と産業空洞化への懸念から、企業の対中投資を制限する政策をとっている。2001年以降、こうした規制政策は大幅に緩和されたため、企業の対中投資に一層弾みがついた。急速な中国への産業移転により、台湾の産業空洞化が加速された。台湾政府は、投資環境と企業運営環境の改善によって、競争力の強化を目指し、産業空洞化対策をとっている。
5.台湾企業の対中進出によって、対中投資の日台ビジネスアライアンスも新しい段階に入っている。台湾企業が、技術と資金を求めて、中国ビジネスで日本企業と協力関係を結ぶケースが増えている。日本企業も、中国における台湾企業の経営ノウハウ、産業集積を活用し、台湾企業と共同で中国進出戦略をとるようになっている。これにより、日、台、中を跨る新しいビジネスモデルが形成されつつある。
6.今後、中国経済の高成長や、台湾の経済情勢の変化、中台双方の政策変化などによって、台湾企業の対中投資は更に拡大し、より高いレベルに発展していくであろう。
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