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将来不安と消費者行動
- 「団塊の世代」を含む50代を中心とした分析

主任研究員 長島 直樹

2003年7月

目次


はじめに
I.影響力の大きい「団塊の世代」、50代
II.アンケート調査の概要
1.調査の目的と方法
2.母集団特性と標本特性
III.消費態度と将来見通し
1.団塊世代の消費抑制
2.退職前後にかけての見通し
IV.不安と消費
1.年齢階層別の不安内容
2.不安と消費の関係
V.むすび

要旨

「将来不安の増幅が消費抑制につながっている」と繰り返し言われるが、その実態に関する実証研究は少ない。本稿は不安心理の中でも「将来の所得が減少してしまうかもしれない」という経済的不安に関して、その意味内容を特定した上で、不安と消費の関連を分析するものである。特に、マクロの個人消費に対して大きな影響力を持つ「団塊の世代」、50代を中心に論じている。現在の消費不況には、平均的には高所得である熟年層の消費抑制が大きく寄与していると考えられるためである。マクロ統計で得られる情報には限界があるため、当研究を目的としたアンケート調査を実施し、その個票分析を行った。

分析結果は以下のとおりである。

(1)  将来不安の内容については、年齢階層別に明瞭な特徴をみることができる。その中で、消費全体への影響力が大きい団塊の世代を含む50代について観察すると、不安要因が混在している様子がわかる。すなわち、年金、健康、賃金そして雇用の不安がいずれも突出することなしに同居することが特徴である。

(2)  将来不安と消費の関連は複雑である。単に「年金不安を払拭すれば、あるいは雇用の安定性さえ確保すれば、消費が全体として増える」というほど単純な関係は存在しない。消費項目ごとにみると、ある種の不安と特定の消費項目に強い関係が観察できるケースもある。ただ、消費項目によっては、「消費増加が将来に対する不安心理を敏感にさせている」という逆の経路を示唆するケースもある。このため、消費全体との関連は直線的ではない。

(3)  不安と消費の関連は年齢階層によって大きく異なる。若年層は将来不安と消費の関連が希薄である一方、熟年層になると個別消費項目に関しては各種の不安と様々な関連が観察される。このことは、「年齢が上がるほど将来不安における“将来”のタイムスパンが長くなっている」ことと関係がありそうである。あるいは、将来を予測するという心理的行為が、“長期の将来”を持つ若年層ではなく、生きてきた期間の長い高齢層において活発であることを示唆している可能性がある。こうした観察結果は、ライフサイクル仮説などが描く経済合理性の世界よりも、心理的な現実をより反映していると思われる。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 将来不安と消費者行動  - 「団塊の世代」を含む50代を中心とした分析 [556 KB]