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最近の中国の国際貿易の特徴

主任研究員 柯 隆

2003年7月

要旨

2002年の世界的なITバブル崩壊や米国テロ事件などの影響にもかかわらず、中国の国際貿易はWTO加盟をテコに大幅に拡大した。具体的には、輸出が前年比21.8%増の3,256億ドル、輸入が同22.3%増の2,952億ドルとなり、貿易収支は同34.6%増の304億ドルの黒字が記録され、年初の予測を大幅に上回った。そのなかで、中国にとっての貿易相手国の上位10ヵ国・地域は、日本、アメリカ、EU、香港、ASEAN、台湾、韓国、ロシア、オーストラリア、カナダとなっており、これら10ヵ国との貿易が中国の国際貿易全体に占める割合は85.2%に達している。ここで上位10ヵ国・地域との貿易の特徴について分析してみたい。

日中貿易の新展開

まずは日中貿易である。日中貿易について、香港などを経由する中継貿易の取扱いの違いにより、両国の貿易統計が大きく異なる。日本の統計をみると、2002年中国への輸出は398億6,600万ドル(前年同期比28.2%増)であり、中国からの輸入は616億9,200万ドル(同6.2%増)であった。貿易収支は日本にとり218億2,600万ドルの赤字となっている(図参照)。それに対して、中国の統計では、2002年の中国の対日輸出は484.4億ドルであり、日本からの輸入は534.7億ドルで、中国にとり50.3億ドルの貿易赤字となっている。

日中の貿易統計上、かなりの相違が見受けられるが、2002年日本から中国への輸出が大幅に増加し、中国からの輸入が鈍化している傾向は二つの統計がいずれも示している。

中国への輸出が急増する背景について、次の二点を指摘することができる。第1に、中国のWTO加盟に伴う市場開放をきっかけとする外資直接投資の集中である。第2に、WTO加盟のコミットメントである関税の引き下げによるものである。このなかで、日系企業の対中投資に伴う設備などの資本財輸出は急増している。更に、関税の引き下げによって、自動車や自動車部品の輸出も急速に増えている。

一方、中国からの輸入が鈍化している背景については、葱、椎茸、ほうれん草などの農産物輸入に対するセーフガードが影響していると思われる。また、中国製の衣料製品は、ユニクロブームが一服したことで伸びが鈍化している。今後の展望として、現在日系企業の対中投資が急増していることを考えれば、将来中国製品の対日輸出は再び急増するものと思われる。

大陸に依存する台湾の国際貿易

中国の貿易相手国のなかで、貿易額がもっとも増加したのは台湾であり、伸び率は38.1%に達した。

中国の税関統計によると、中国と台湾の貿易総額は447億ドルに達し、うち台湾から中国への輸出は328億ドル(25%増)に上る一方、中国からの輸入は80億ドルに止まり、台湾にとり248億ドルの貿易黒字となった。台湾から中国への輸出が特に急増している製品として、液晶モニター、マザーボード、各種集積回路などのPC部品があげられる。

中台貿易が急増する背景には、2001年中国と台湾がほぼ同時に念願のWTO加盟を果たし、それをきっかけに台湾企業による中国大陸への投資が集中したことがある。2002年台湾による中国への直接投資は前年比38.6%増え、38.59億ドルに達した。これは台湾の対外投資の53.4%に相当する金額である。今後を展望した場合、大陸に依存する台湾経済の姿がますます鮮明になってくると思われる。

輸出製品構造が高度化する対米貿易

2002年の中国の対米貿易総額は20.8%増の972億ドルを記録し、米国にとって、中国が最大の入超国となった。当初、中国政府は米国のITバブル崩壊とテロ事件の影響を考慮して、米中貿易も最大でも920億ドルに止まると予測していた。しかし、実際の米中貿易は予測を大きく上回って順調に拡大している。最近、中国政府は、2005年の米中貿易が1,280億ドルに達し、米国が中国最大の貿易相手国となるとの見通しを発表した。

米中貿易はこのような「量」の増加だけでなく、「質」的にも向上している。2002の対米輸出のなかで、ITなどのハイテク製品及び機械・機器類の輸出は全体の3分の2を占めるようになった。かつて、対米輸出の主役だった玩具、靴類、衣料品などは量的に依然大きなウェイトを占めているが、金額的にはシェアが低下している。一方、米国からの輸入をみると、農産物、飛行機、発電設備、石油加工プラントなどが大きなウェイトを占めている。

注目されるASEANとの貿易

中国の貿易相手国のなかでASEANの重要性が速に増している。2002年の貿易総額は548億ドルに達し、前年比31.7%の増加となった。中国とASEANとの貿易が急速に拡大する背景に、いうまでもなく中国とASEANの自由貿易協定(FTA)の構築に向けた基本合意がある。

2002年1~10月の貿易額は435億ドルで、前年比28.3%増であった。11月4日中国とASEAN諸国はFTA構築に関して合意した。これを受けて、11月、12月の貿易量が急増し、通年で31.7%増となった。

ASEANと中国の自由貿易協定の締結により、総人口17億人、国内総生産2兆ドル、貿易総額1兆2,000万ドルの巨大経済圏が誕生する。このような展望のもとに、中国とASEANは、今後貿易と投資を促進していくものと思われる。中国政府は、2005年の対ASEAN貿易が、現在の548億ドルから年平均15%増加し630億ドルになるとの見通しを発表している。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 最近の中国の国際貿易の特徴 [304 KB]