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韓国企業の最大の投資先 : 米国から中国へ

主任研究員 金 堅敏

2003年7月

要旨

「韓流」となった韓国企業対中投資の加速

韓国財政経済部の統計によると、2002年に韓国企業による対中投資額は、17.2%となり、対外投資総額50.6億ドル(申告ベース)の34%、対アジア投資24.9億ドルの70%を占め、初めて対米投資額(13.7億ドル)を上回り、中国が米国を抜いて韓国企業の最大の投資先となった。2003年に入ってもその勢いは増幅している。第1四半期の対外投資は昨年同期比で11.1%減少したが、対中投資は68%増で対外投資全体の49%を占めた。対米投資は対外投資全体の18.8%に縮小した。「産業空洞化」に対する懸念がこれまであまり聞かれなかった韓国においても、ここにきて「韓国の製造会社の中国移転が加速し、産業空洞化現象が深刻化する恐れがある」(韓国貿易投資振興公社)との声が聞かれ始めている。しかし、政府は「今後は研究開発センターを中国に移転して、技術の産業化や製品の国際競争力向上に努めるべきである」と、対中投資を奨励している方針を出している(産業資源部)。

他方、中国の統計によると、2002年に韓国企業による対中投資は、4,008件(海外企業対中投資の11.7%)、契約金額52.8億ドル(同6.4%)、実行金額27.2億ドル(同5.2%)である。契約額ベースの投資国・地域ランキングで、香港(海外企業対中投資全体の30.4%)、米国(同9.9%)、台湾(同8.1%)に次いで、日本(同6.4%)と並んで4番目である。華人資本を除くと、韓国は対中投資における日米欧の3極に続く4極目となっている。韓国から中国へ流れる投資は「韓流」と呼ばれるほど、中国における韓国企業のプレゼンスが高まっている。

韓国企業の対中投資の特徴

これまでの韓国企業による対中投資の主役は、繊維、玩具、靴、小道具等の労働集約産業を担う中小企業であった。中国での経営がうまく行かず撤退や工場閉鎖を行った中小企業も多かった。近年では、大手財閥企業が対中投資を本格化したため、中小企業の対中投資も再び加速してきている。これを反映して韓国企業の対中投資の1件当たりの投資額は132万ドルと、日本の193万ドルに比べかなり小さく、台湾の139万ドルにも及ばない(中国統計、2002年契約ベース)。

投資地域は、これまでは距離が近く、韓国語のできる朝鮮族が多く集中する山東省(約32%)、遼寧省(約19%)、吉林省(約10%)、天津(約9%)に偏っていた(韓国財務省2002年3月まで進出企業のデータ)が、最近は上海をはじめとする華東地区や広東省等の華南地域に南下しはじめている。

トップ財閥企業であるサムソン電子、LG電子、現代自動車、SKグループ等は、ここにきて対中投資を一段と活発化してきている。中国の家電製品や携帯電話等のIT製品等の市場で既に高いプレゼンスを有する韓国企業は、自動車、石油・化学製品等の重化学製品市場でもプレゼンス拡大を狙っている。製造業だけでなく、サービス業の対中投資も動き出している。例えば、百貨店の新世界では、4億ドルを投資して上海でスーパーを設立すると計画にある。

韓国大手財閥企業の対中投資の戦略動向

・大手財閥系企業A社(先発)

A社の対中累積投資額は既に26億ドルに達した。対中ビジネスは、主に10社の生産法人、1ヵ所のR&Dセンター、17支店からなる。従業員9,800人で、2002年売上高は50億ドル(01年は37億ドル)となった。中国で生産する製品は、CRT、携帯端末、冷蔵庫、プロジェクションTV、音響、IC、TFTLCDなどからなり、2002年に生産を開始したノートPCは、中国で10%のシェア獲得を目標としている。1999年から、中国事業はすべて黒字化した。

A社の目標は、中国市場での売上を2005年に140億ドルにまで拡大し、米国、EUを超える販売市場にすることである。3~4年後に中国は、A社の最大の海外投資市場になる。

・大手財閥系企業B社(先発)

B社の対中累積投資額は、10億ドルに達した。投資額4億ドルにも及ぶ将来のB社の中国本社ビルの建設(2002年夏から)は、中国で大きな話題を呼んでいる。

中国におけるB社の事業は、主に16社の生産法人と1ヵ所のR&Dセンターからなる。従業員数は11,000人で、うちR&D人員は700人である。2005年にR&D人員は、2,000人に拡大させ、R&Dの中心をソウルから北京へ移すとしている。中国で生産する製品は、家電、CD - RW / DVD、IT製品、携帯端末等からなる。特筆すべきことは、生産された家電製品は中国製品と充分競争できる価格となっている。売上高は、40億ドル(02年)と、今後55億ドル(03年)、80億ドル(05年)に拡大する計画である。

B社は中国事業の現地化で成功するモデルとなっている。現在、7社の独資法人のうち、3社の総経理は現地人であるが、2005年までにすべての総経理を優秀な現地人に切り替えるとしている。

・大手財閥系企業C社(後発)

対中投資に遅れたC社も、2000年には「中国ビジネス推進室」を設立して、対中本格投資の準備に着手した。昨年「2003年からの5年間に5億ドルの投資計画」を発表した。本国のB社グループと同等規模の「B社中国グループ」を目指すという。

対中投資の産業分野は、(1)エネルギー・化学、(2)通信、(3)バイオの三つである。(1)については、2003年中に石油化学に関連する数社の合弁企業を立ち上げる予定であり、(2)については、中国大手通信会社「聯通」との合弁企業設立の方向で交渉中である。(3)については、上海に既にR&Dセンターを設立済みで、事業展開のタイミングを模索しているようである。

B社はサービス重視の経営理念を打ち出し、B社ブランドにもこだわらない戦略を取っている。5年後の中国での売上高は、10億ドルを目指している。

全文はPDFファイルをご参照ください。

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