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東京の再開発の課題

主任研究員 米山 秀隆

2002年4月

要旨

進む東京の再開発

近年、東京では、高層マンション、大規模オフィスビルなどの都市再開発が活発化している。これらにより、(1)都心居住が促進され職住の一体化が進む、(2)土地の高度利用によってオープンスペースが増え都市空間が潤いのあるものに変わるなどの効果が生み出されている。こうした動きは、民間主導で東京の都市再生を図る動きとして評価に値する。

しかしながら、東京が都市として抱える問題については、民間主導で解決できない問題も多い。これらの問題も同時に解決していかなければ、本当の意味で、東京の都市再生を果たすことはできない。

木造住宅密集地の問題

その第1は、木造住宅密集地が広範に存在しているという問題である。東京都の調べによれば、木造住宅密集地は、山の手線及び中央線一帯を中心に約24,000ha存在している。これは都区部全体の面積のおよそ4割に相当し、東京の土地の高度利用が進んでいない最大の要因となっている。またこれら地域は概して居住環境が悪く、地震時に火災などの危険度も高い。東京の木造住宅密集地のうち、約5,800haは防災上危険な地域として指定されている。

これら地域の再開発を行い高層化を進めれば、土地の高度利用を進めた上で、道路や公園などのオープンスペースを確保することができる。しかしながら、こうした開発はなかなか民間主導では行いにくい。

東京都が再開発を行った事例としては、隅田川添いの白髭西地区(58ha)と亀戸、大島、小松川地区(144ha)の例がある。これらは、東京都がモデル防災住宅街として、直轄事業で再開発を行ったものである。再開発の結果、これら地区の道路率は36%となり、都区部平均の倍以上となった。また公園などを含むオープンスペースは60%にも達する。高層化を進めたことで人口も約3倍に増加した(東京都による)。

しかし、この事業には30年の歳月と1,000億円の事業費がかかった。このような巨大プロジェクトによって再開発を行うことは、厳しい財政事情もあり、今後は困難になると考えられる。これからは建物の建て替え時にセットバックを進めるなど、地道な努力の積み重ねがより一層重要になる。その際、都市計画上の手法を十分に活用しながら(防災再開発促進地区、防災街区整備地区計画)、地域の特性に応じた再開発を進めていく必要がある。

低未利用地の問題

問題の第2は、東京に低未利用地がいまだ多く残されているという点である。現在、低未利用地として特に問題視されているものとしては、次の2つを指摘できる。

1つは、バブル崩壊によって開発が途中で頓挫したり、不良債権と化した低未利用の土地である。これらの土地は狭小な土地が多く、しかも点在しているため、再開発を行うことが困難である。こうした土地を再開発できれば、都心居住の流れを更に推進していくことも可能になる。

もう1つは、重厚長大産業の工場の廃棄に伴う、臨海部の広大な空き地である。これらの土地は、都心回帰を促す住宅用も含んだ総合開発の余地が大きいと考えられる。しかし、現状では再開発が進まないまま放置されている。

東京単独のデータは公表されていないものの、全国の100万人以上の大都市では、低未利用地の割合は全体の面積の8%にも達する(2000年度、国土交通省調べ)。この中には、ここで指摘した不良債権がらみの土地や工場跡地も相当程度含まれているものと推測される。

前者については、狭小かつ点在しているため採算に合いにくく、デベロッパーが開発を行うインセンティブに乏しいという問題がある。特に不良債権がらみの土地については権利関係も複雑である。後者については、工場用地としての用途規制などが開発の足かせになっているという問題がある。したがって、これら2つの種類の低未利用地については、開発を促すような新たなスキームを作らなければ、低未利用のまま放置され続ける可能性が高い。

狭小かつ点在している低未利用地については、結局のところは自治体が買い上げる以外に有効な対策は見出しにくいかもしれない。その上で、民間に具体的な提案をさせ、地域にとって望ましい提案をしたデベロッパーには、ある程度の資金援助を行って、再開発を促すという手法が考えられよう。

工場跡地については、開発上の制限をすべてはずして、一種の開発特区として開発の自由度を格段に高めた上、民間デベロッパーに開発計画を提案させ、最も望ましい計画を提案したデベロッパーに開発を全面的に委ねるというような開発スキームを作ることが1つの手段として考えられる。

このように純粋に民間主導で行いにくい再開発については、新たな仕組みを作ることで、民間の参入を促すことが重要になる。東京を生活空間としても魅力あるものに変えていくためには、官民一体となった取り組みが必要である。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 東京の再開発の課題 [117 KB]