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証券化を活用した公的金融改革

主席研究員 田邉 敏憲

2001年10月

目次


I.なぜ公的金融見直しは必要か
1.累積化される非効率性
2.公的金融の民間機関との競合激化      
3.日本版金融ビッグバン総仕上げにも不可欠
II.これまでの公的金融見直し論
1.公的金融機関の民営化・解体論と特殊法人の財投機関債発行
2.証券化モデルは抜本的な特殊法人改革と最もマッチ
3.特殊法人に適用できる2種類の証券化
III.日本道路公団事業資産の証券化スキーム
1.道路公団事業資産の証券化の意味合い
2.ファンド型証券化のビジネスモデル
3.具体的な証券化案
IV.民営化や財投機関債との関係など
1.民営化との関係
2.財投機関債と証券化
3.わが国証券市場の拡大効果
V.今後必要なアクションプログラム
1.関係各界への働きかけ
2.証券化に向けた法的手当て
3.証券化推進のための残されている課題解決

要旨

1.郵政公社化と特殊法人の財投機関債発行で封印されかけていた"公的間接金融"改革が、小泉首相により再び俎上に載せられた。特殊法人の廃止、民営化など市場原理導入の実効性に期待がかかる。こうした動きは一方で、本年度から発行される財投機関債に関する、暗黙の政府保証を前提とした安易な、国債と同等の格付けスタンスを動揺させている。

2.なぜ公的金融改革が必要かと言えば、そもそも経済・金融活動において政府部門ないし公的部門が肥大化することは、費用に見合う効果を生まない「非効率性」の累積化を意味するためである。わが国では欧米諸国ではとっくに放棄したケインジアン的な景気刺激策をバブル崩壊後も一貫して維持してきた。財政投融資のチャネルをもフルに使った、採算すなわち効率性を度外視した巨額の経済対策に大きく依存した結果、非効率性を累積してしまった。

必ず返済することを前提にしている融資に関し、民間金融機関以上に不良債権化が進行しているとの見方も根強い。これ以上非効率性を累積させないためにも、"公的間接金融"への市場原理導入が急がれるわけである。

3.では、抜本的な特殊法人改革の帰趨が定まるまで、市場原理を働かせ得る資金調達手段はないのか。否である。一つは、政府系金融機関の貸出債権を担保とした証券化の出番である。これは、住宅金融公庫や中小企業金融公庫などが保有する、住宅ローン債権や中小企業向け貸出債権を担保としたMBS(モーゲージ担保証券)やABS(資産担保証券)である。また、道路公団に代表されるインフラ事業財投機関でも、キャッシュフローが確かな個別事業資産のファンド型の証券化が有効と考える。

重要なことは、証券化と民営化との関係は補完的なことである。まず証券化を実現し、この過程で、対象事業資産に関し、企業会計基準によるディスクロージャーが進み、民営化と同じ効果を持つファンド上場によって市場価格が形成される。特殊法人の透明性は格段に増し、民営化に向けた環境作りにもなる。

4.これら証券化商品の実現で、わが国の巨大な"公的間接金融"の効率化、直接金融化も大いに進展する。また、わが国のこれまで極端に国債に偏った証券市場の多様化、拡大をもたらす。

5.法的な手当てとしては、特殊法人の分割法制、例えば「公的事業資産証券化法」(仮称)が必要となる。また現在、国有財産は個別物件の譲渡毎に国会決議を要するため、ファンド型証券化の場合、ファンド組成時の国有財産譲渡を一括して認める関連法制の整備も必要となろう。法制面など越えるべきハードルは高いが、効果も大きいと考える。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 証券化を活用した公的金融改革 [362 KB]