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中国で巻き起こる半導体投資

主任研究員 朱 炎

2001年10月

要旨

世界的なIT革命のなか、中国でもIT産業が急速に成長し、半導体に対する需要が急拡大しているが、国内産業が需要を充分に満たせない。そのため、2000年以降、外資を中心とした大規模な半導体投資が始まっている。

半導体投資奨励政策と実施計画

中国政府は2000年に「ソフト産業とIC産業の発展を奨励する若干の政策規定」を策定し、投資額80億元(10億ドル弱)以上、8インチ、0.25μmレベル以上のウェハー製造に関する投資に対して、さまざまな優遇措置を提供している。第10次五ヵ年計画(2001~05年)においても、半導体産業を重要産業と位置付けている。

これを受けて、上海、北京と深センの3都市は、いずれも2000年に「半導体産業都市」を宣言し、半導体生産基地を設立する計画を発表し実施に移した。この3都市は、それぞれに優位性を持っているが、現段階には上海がやや優位にある。

上海は中国の半導体産業の発祥地であったが、現在でも、国内で生産額の5割を占めており、他の都市を一歩リードしている。市内の漕河涇と浦東新区にある張江という2つのハイテク団地には、回路設計、ウェハー製造、パッケージ・テスト、装置など半導体製造関連企業が集中している。加えて、周辺都市にも半導体産業が広く分布し、上海を含む長江デルタ地域は中国の半導体産業の中心地になっている。上海市政府は、浦東を中国の半導体生産基地にすることを目指し、世界から半導体企業を誘致、今後5年間に150億ドルを投資し、10本以上の半導体生産ラインの建設を計画している。

北京には研究機関が集中し、技術人材が豊富であり、市内に中国最大のソフト関連のハイテク団地中関村もあるが、半導体生産は出遅れている。2000年末、北京で「北方微電子産業基地」が着工し、外資も参加する2つの半導体生産企業が設立された。北京は、今後10年間に8~12インチの生産ラインを20本建設すると計画している。

深センは、周辺の珠江デルタ地域にパソコン産業が多く、半導体のユーザーが集中するなどの条件が揃っているが、本格的な半導体産業はまだ存在していない。深セン市政府は、2000年に半導体産業の促進策を決定、3~5平方キロの工業団地を建設し、海外の投資を誘致するためさまざまな優遇政策を策定した。

主役である外資系企業のパ8フォーマンス

中国の半導体産業の発展においては、外資が主役である。2000年以降の投資ブームのなか台湾勢は最も積極的であり、欧米勢は勢いを増しているが、日本勢はやや出遅れている。

台湾企業による6インチ以上のウェハー製造とパッケージの対中投資は、台湾政府によって禁止されている。しかし、台湾内で、土地取得や水供給及び人材獲得に悩まされた半導体企業は対中投資に積極的であり、第三国経由で大規模な対中投資を展開している。台湾系の宏力半導体(GSMC)は、2000年に8インチのウエハー工場を上海の張江に建設し、来年生産を開始する。同社は上海で合計8インチの2工場、12インチの2工場の建設を計画している。同じ台湾系の中芯国際(SMIC)も張江で8インチのウエハー工場を建設しているが、今年生産開始予定であり、今後第2工場も建設する。また、北京と深センでも台湾企業はウエハー工場の建設を進めている。ほかにも、台湾系回路設計企業10数社は既に上海の漕河費C某塀个靴拭・僖奪院璽犬亡悗靴討蓮・耋儼O10数社は既に中国に進出し、大部分は上海に集中している。

欧米勢のうち、モトローラは最大規模である。天津で8インチの工場を建設し、今年生産を開始する。また、四川省の楽山でパッケージ工場を稼動し、今年6インチのウェハー工場の建設も決定した。フィリップスは、上海でウェハー生産の合弁企業を設立したほか、広東省の東莞市でパッケージ工場を設立し投資を拡大している。また、今年蘇州で、投資額10億ドル、最終的に年産7億個のパッケージ工場の建設を決定した。STMは、深センに年産10億個のパッケージ工場を既に稼動させているが、今年前工程にも投資すると決定した。欧米系メーカーのパッケージ・テスト分野への投資として、インテルは1996年に上海で工場を設立し、98年に稼動し始めた。AMDは蘇州で96年に工場を設立し、99年から操業し始めた。IBMは今年上海でパッケージ工場の設立を決定し、来年には完成する。

日本企業の半導体における対中投資は、NECが最大規模である。いままでに、合弁により北京で6インチ、上海で8インチの工場を設立した。そのうち上海の華虹NECは中国初の8インチ工場である。今年、NECはこの2工場の生産拡大のため追加投資を決定した。パッケージ・テストの分野においては、三菱電機が北京で、日立が蘇州で、富士通が南通で生産している。

投資ブームのリスクと限界

中国の半導体投資ブームは、世界的に半導体需要が高まった2000年から始まったが、今年に入って、世界的な景気減速により半導体需要が急落し、世界の大手メーカーはいずれも生産調整に入った。中国の半導体投資もこの影響から免れない。いままで中国進出を決定した外国企業が、計画どおり投資を実施するかどうか疑問が残る。

また、投資はいずれも外国企業、特に台湾企業との合弁で行われ、資金と技術も外国企業に依存している。主流製品は8インチ、0.25μmであり、技術的にやや遅れている。ただ、より進んだ技術は、軍事転用を懸念する米国に制限される可能性がある。

いずれにせよ、中国の半導体産業は今後大きく発展し、韓国と台湾に次いで、中国も半導体大国になることは間違いないであろう。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 中国で巻き起こる半導体投資 [126 KB]