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アジアにおけるエネルギー協力と日本の課題

主任研究員 武石 礼司

2001年4月

目次


I.アジアのエネルギー需給と市場構造
1.アジア諸国のエネルギー消費量と実質GDP推移
2.アジア各国のエネルギーの価格弾力性
3.アジア各国のエネルギー需給の価格変動に対する調整速度
II.中国のエネルギー消費構造の変化
1.中国のエネルギー生産量・消費量の推移
2.アジア太平洋地域のエネルギー生産量・消費量の推移
3.アジア諸国の一次エネルギー需要予測
4.中国の石炭と石油の需要推移と将来予測
III.物流の課題(マラッカ海峡等のシーレーン)
1.東アジア向けシーレーン
2.マラッカ・シンガポール海峡の代替ルート
3.マラッカ・シンガポール海峡の通過船舶数と船荷量
4.マラッカ・シンガポール海峡の混雑度予測
IV.エネルギーグリッドの重要性(欧州との比較)
1.欧州のガス供給パイプライン網
2.ヨーロッパのガスパイプライン・グリッド導入のメリット
V.アジアでの取り組み
1.アセアンのガスパイプライン・グリッド計画
2.東南アジアの電力グリッド計画
3.中国の石油・ガスパイプライン計画
4.東アジアのガスパイプラインと電力グリッド計画
VI.提言
1.日中共同鉱区の設定提案
2.アジアのエネルギー問題への取り組み

要旨

1.アジアのエネルギー需給と市場構造

アジアのエネルギー消費量とGDPの伸び率の関係は、日本、中国、及び、その他のアジア諸国に「3極化」している。今後、中国のエネルギー消費量が経済成長に従い、その他アジア諸国と同じ系列に入っていくのか、また、「その他アジア諸国」のトップランナーである韓国が日本型の成長軌道に入るかが注目される。

2.中国のエネルギー消費構造の変化

エネルギー供給源として石炭に8割程度も依存してきた中国では、WTO加盟のため、石炭を含めたエネルギーに対する補助金を削減しており、また、エネルギー市場の外資に参入を認めつつある。こうした状況を受けて96年をピークとして国内の石炭生産が急減するとともに、石炭需要も減少しており、その一方、石油に対する需要が急増している。アジア全体としての石油需要も、中国の需要急増を受けて増大している。

3.物流の課題(マラッカ海峡等のシーレーン)

アジアに石油及びガスを運んでくるための最大の難所はマラッカ・シンガポール海峡であるが、2020年までの通航量を予測すると、中国の石油類の通航量が日本の石油類の通航量を超える可能性が出てきている。現状でも既に満杯と言われる同海峡の混雑を避け、安定的なエネルギー供給を維持するためには、エネルギーの相互融通を可能とする国境を超えたパイプライン網及び電力グリッドの形成に努める必要がある。

4.エネルギーグリッドの重要性(欧州のガス供給網の事例検討)

欧州諸国では、ガスグリッドが整備され、供給先が増えるにつれて、価格競争が生じており、供給価格の低下が見られ、スポット市場が発達してきている。エネルギー供給の安全性を向上させるためにも、アジアにおけるエネルギーグリッドの形成は有効と判断できる。

5.アジアでの取り組み

アセアンではエネルギーの相互融通が、ガスパイプラインの敷設と国境を越えた電力融通ラインにより進められている。エネルギー利用のネットワーク化が進むことは、エネルギー安全保障の強化につながり、更に、各国間の依存関係を高め、地域の安定化をもたらす。 アセアンでの動きに加え、中国においてもロシアからのガス輸入プロジェクトが進められており、また、中央アジアからの石油及びガスのパイプラインによる輸入計画が検討されている。

6.提言

日本は、アセアンで進行中のガス及び電力を中心としたエネルギー相互融通の動きを支援するとともに、日本近隣においても、ロシア、中国、韓国等の近隣諸国とのエネルギー相互融通の可能性を探っていくべきである。 特に、尖閣列島海域の資源探査は中国との領土問題を棚上げして、共同実施するべきである。資源量を確認することで、エネルギー争奪をめぐる紛争発生を事前に避けることも可能となる。資源探査の結果、仮に、開発可能な資源を発見できれば、中国の国内産エネルギー供給量を増やすことができ、供給安定化に役立つ。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF アジアにおけるエネルギー協力と日本の課題 [1.95 MB]