医療介護費の将来推計と保険制度統合
主席研究員 松山 幸弘
2001年1月
目次
はじめに
I.推計方法
1.医療費推計のポイント
2.介護費推計のポイント
II.推計結果
1.医療介護費は今後10年間の増加が著しい
2.消費税率換算で見た公費負担増
3.高齢者の追加負担
III.医療介護の保険制度改革の方向
おわりに
要旨
1.2000年度~2050年度の期間における医療費と介護費を、経済全体の実質賃金上昇率が0%、1%、1.5%、2%のケースに分けて2000年貨幣価値換算で推計を行った。その結果、65歳以上人口が増加すると同時に在宅サービスの供給体制整備が進む2010年までは、医療介護費の増加率が実質賃金上昇率を大きく上回るが、2010年度~2025年度の期間はその乖離幅が縮小、2025年度以降は人口減少効果が高齢化効果を上回ることを主因に、実質賃金上昇率が1%、1.5%、2%の場合には医療介護費増加率が実質賃金上昇率を下回ると推計された。
2.2000年度の医療介護費約34兆円のうち公費は11兆5千億円であり、消費税率に換算すると4.59%となる。現行制度を前提に公費負担の消費税率換算を将来推計すると、実質賃金上昇率1%のケースで、2010年度6.14%、2025年度7.05%、2050年度6.60%となる。
3.1人あたり負担額の増加率が世代間で同じとした場合、70歳以上高齢者の医療介護費1人あたり負担額(2000年貨幣価値換算)は、2000年度の24,080円から、実質賃金上昇率1%のケースで2010年度32,703円、2025年度44,160円、2050年度62,841円と増加する。この医療介護費1人あたり負担額が社会保障給付受取額に占める割合を年金改革後の80歳について計算すると、2010年度15.4%、2025年度18.8%、2050年度20.8%と2000年度現在の11.3%から9.5ポイント負担増となる。
4.このように公費負担と1人あたり負担が高まることから医療介護費抑制の努力が一層求められる。そして2000年度に予定されながら白紙撤回された医療改革について国民のコンセンサスを再構築するためには、負担増に見合う満足度向上と世代間負担の公平化が実現する仕組みを提供する必要があると思われる。その具体策として、地域医療介護圏情報ネットワークによる効率化と満足度向上を前提に、次の3つの追加提言を行うこととしたい。
追加提言(1) : 職域別医療保険を廃止し地域別医療保険(国保)に一本化する。
追加提言(2) : 医療介護分野のIT活用促進の財源をタバコ税に求める。
追加提言(3) : 65歳以上高齢者については医療保険と介護保険を統合する。
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