富士通総研

  1. ホーム >
  2. 調査・研究成果 >
  3. Economic Review >
  4. Vol.5 No.1 2001年1月 >
  5. 我が国の大学における研究成果の実用化促進メカニズムの構築

我が国の大学における研究成果の実用化促進メカニズムの構築

上級研究員 西尾 好司

2001年1月

目次


I.日本の産学連携の現状
1.はじめに
2.日本の産学連携の状況
II.日本の産学連携システムの課題
1.研究協力制度
2.ライセンシング
3.ベンチャー企業支援制度
4.大学の研究環境
III.産学連携によるイノベーションシステム構築に向けて
1.研究費の弾力的な運用
2.地域共同研究センターの充実
3.知的財産権の帰属の取扱い規程の変更
4.TLO支援策の充実
5.大学発のベンチャー企業設立体制の整備
6.大学の組織力強化

最後に

要旨

1.我が国では新産業創出を目的に、大学の研究成果の実用化促進に向けた取り組みがなされている。欧米諸国では、国の競争的優位の獲得、地域経済の活性化のために大学は大きな役割を果たしている。一方我が国では、大学が充分な役割を果たしてはいない。本稿は、米国やドイツとの比較を通じて、我が国の産学連携システムを制度及び体制の点から検証し、大学の研究成果の実用化促進メカニズムを提言したものである。

2.米国では、研究協力(共同研究や委託研究)、ライセンシング、ベンチャー企業の設立を3つの柱とした産学連携促進が進められている。大学の知識を実用化へつなげるのに有効な制度を整備している。また、大学が企業との窓口を整備し、教員と企業との間に介在することにより、教員を守る役割を果たしている。ドイツでは、米国のような組織的な支援体制は不充分であるが、産業界との研究協力や大学発のベンチャー企業設立を積極的に進めている。

3.我が国では、いくつかの産学連携の支援策が採られているが課題が多い。例えば、国立大学では研究成果の権利は原則として教員帰属である。企業との研究協力による成果の権利帰属については国と企業との共有になるなど、企業が大学の研究成果を活用して資金や人材を投資していく環境が整備されていない。また、大学発のベンチャー企業の設立についても、充分なシ支援ステムが整備されていない。

4.今後は、大学への多額の研究資金投入やライセンシング推進策だけでなく、企業との研究協力における研究成果の取扱いの変更や地域共同研究センターの充実など、産学連携によりイノベーションを作る環境を整備することが求められる。更に、大学の運営体制を効率的にし、研究環境を改善し、欧米と対抗できる研究体制を構築し、社会からの要請に迅速に応えていく体制を整備する必要がある。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 我が国の大学における研究成果の実用化促進メカニズムの構築 [218 KB]