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社会資本の生産性と公共投資の効率

主任研究員 長島 直樹

2000年10月

目次


I.問題の背景
1.一般論が困難な政府規模とその評価
2.突出した公共投資に焦点
II.社会資本の生産性について
1.コブ・ダグラス型関数の定式化
2.計測結果について
3.トランスログ型による試行
4.コストについての官民比較
III.公共投資の効率について
1.建設関連中心の現状
2.建設偏重がもたらす帰結
3.なぜ現状が維持されるのか
4.地域別の社会資本生産性
IV.政策へのインプリケーション
推計についての補足説明(1)
推計についての補足説明(2)

要旨

1.社会資本の限界生産力は30年間で約2分の1に低下した。これは社会資本を形成する公共投資が有効に機能していないことを示すものである。財政赤字・政府債務の累積から公共投資削減の必要性が主張されているが、生産力低下は量的な問題だけでなく、公共投資の「質的改善」が急務であることを示唆している。

2.公共投資が土木・建築偏重になっている弊害は大きい。第1に建設業の生産性自体が製造業などと比べて低いため、建設業シェアの拡大は全体の生産性向上を損なうことになる。資本・労働力といった経営資源が生産性の高いセクターに流れずに、低生産性部門に滞留することによる弊害、と言い換えることもできる。第2の理由は、建設業では知識ストックの蓄積が遅く、技術進歩を通じた中長期的な成長・発展があまり期待できない、ということである。

3.土木・建築関連の公共投資が優先されがちなのは政治家や省庁の利権だけが理由ではない。建設関連の短期的な生産誘発効果は都道府県内に地域を限定すると、ハイテク関連と比較しても概して大きく見える。このため、自治体が長期展望を欠くと建設関連への依存が続きやすくなる。また政策担当者側の問題としては、公共投資の役割に対する拡大解釈を指摘することができる。

4.現状で公共投資の目的は(1)社会資本の整備、(2)景気対策、(3)地元の雇用対策、(4)地域間所得の再分配 - の4つに分類できる。しかし、(3)(4)、の目的が前面に出過ぎているために土木・建築偏重を通じて"社会資本の生産性危機"が生じている。本来の目的(1)に立ち返り(2)、もあくまで「(1)を達成する事業の前倒し」に限定する方が良い。

5.本来の目的である(1)に関しては、ハイテク分野と都市部の社会インフラの整備を優先すべきである。道路・鉄道などの建設関連でも都市部の生産力効果は高いことが知られている。また、ハイテク分野ではITSの推進、行政サービスの電子化、知的情報データベースの整備など、新たな公共財・公共サービスは未だ過小であり、限界的な便益は大きいであろう。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 社会資本の生産性と公共投資の効率 [234 KB]