医療介護分野の効率化と満足度向上
- 統合ヘルスケア供給ネットワーク(IHDN)構想について
主席研究員 松山 幸弘
2000年7月
目次
はじめに
I.社会保障制度改革のための政策提言
【提言1】
【提言2】
【提言3】
【提言4】
II.日本の10年以上先を行くアメリカ
1.ヘルスケア供給者垂直統合の歴史
2.IT活用の現状と評価
3.ヘルスケア市場でもインターネットが革命を起こす
4.消費者への徹底した医療情報提供
III.日本版IHDNのイメージ
1.情報と経営資源の共有
2.IHDNプロジェクトの留意点
3.IHDNプロジェクトの効果
おわりに
要旨
1.2000年に予定されていた医療改革が白紙撤回された大きな理由の1つは、高齢者と現役勤労者の負担ルールのコンセンサスを作ることなく、高齢者医療介護費用について「社会保険料か?税か?」といった具合にファイナンスの仕組みを議論していることにある。70歳以上高齢者の医療介護費用のうち受益者自身が負担している割合は現在24%と推計される。高齢化進行とともにこの受益者負担割合をどこまで引き上げるかに関する国民の合意を作ることが先決と思われる。
2.その具体案として、69歳以下の医療費も含めた国民医療介護総費用合計ベースにおいて1人あたり負担増の倍率が高齢者と現役勤労者間で等しくなるようにすることを提言したい。これは、70歳以上人口増による医療介護費用増加と69歳以下人口減による医療費減少の効果を高齢者と現役勤労者間で折半する仕組みである。ただし、この場合でも高齢者と現役勤労者の1人あたり負担額は、今後40年間に実質ベースで少なくとも1.4倍になる。また、上述した70歳以上高齢者の医療介護費用の受益者負担割合は現在の24%から34%に高まる。したがって、医療介護費用抑制により国民の負担軽減を図ることが重要である。
3.一方、高齢化とともに医療費が増加することが不可避であることを考えると、医療改革の目標としては、「医療費がある程度増えても制度運営の安定化に資するような仕組みを構築すること」の方がより相応しいと思われる。そのための具体策として、高齢者医療保険を創設し基礎給付保険と補完保険の2階建てにすることを提言したい。
4.医療介護分野で無駄を排し国民の満足度を高めるためには、地域医療介護圏で情報と経営資源を共有する仕組み作りが必要と思われる。その具体策として統合ヘルスケア供給ネットワーク(IHDN)を提言したい。
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