国際標準をいかにして獲得するか
主任研究員 米山 秀隆
2000年7月
目次
I.国際標準化戦略の意義
1.国際標準の形態
2.公的標準とデファクトスタンダードの二層構造
3.フォーラム、コンソシアーム活動の活発化
4.日本にとって必要な戦略
II.国際標準をめぐる競争 : ケーススタディ
1.次世代デジタル録画機
2.メモリーカード
3.情報家電
4.燃料電池車
5.ITS
6.次世代携帯電話
7.まとめ
III.新型特許の取得競争
1.遺伝子特許
2.ビジネスモデル特許
要旨
1.企業の技術開発戦略上、国際標準をいかにして確立するか、特許をいかにして早く取得するかという点が、近年、ますますその重要性を増している。本稿は、(1)国際標準を獲得するためにはどのような戦略が必要か、(2)特許のうち最近注目を集めている新型特許(遺伝子特許、ビジネスモデル特許)をいかにして取得するかという二つの点について考察を行ったものである。
2.国際標準の確立については、デファクトスタンダード争いが主流となる技術(家電、コンピュータ系の技術など)では、自社の提唱する技術に賛同する企業をいかにして増やすかが重要となる。賛同企業を募るフォーラムやコンソシアームを組成するなどして、マーケットをいち早く押さえることがポイントとなる。また、公的機関による標準策定が主流となる技術(通信系の技術など)では、公的機関運営の主導権の確保、公的機関への事前の働きかけ、自国の技術に賛同する国を増やすことなどが重要となる。次世代録画機、メモリーカード、情報家電などが前者に属し、次世代携帯電話、ITSなどが後者に属する。燃料電池車はこの中間にあたる。
3.一方、新型特許は、近年、アメリカで取得が急増したが、日本企業の取り組みは大きく遅れている。日本企業もようやくその重要性に気付き、特許出願を行うようになったが、今後、特許取得を促していくためには、特許審査体制の整備、迅速化も必要となる。しかし、新型特許はともに公共財としての性格も有するため、一企業の権利を守りすぎると、社会全体として不利益が生じる懸念がある。このため、最近のアメリカでは、特許の審査基準を厳しくしたり、特許有効期間を短縮させようとする動きも台頭している。企業の利益と社会の利益をどのように調和させるかが新たな課題として浮上している。
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