これからの日本のリーディング産業
主任研究員 安部 忠彦
2000年4月
目次
はじめに
I.リーディング産業候補をどう選ぶか
1.リーディング産業をどう捉えるか
2.リーディング産業候補をどう選ぶか
3.リーディング産業候補間の関係
II.リーディング産業成長を阻む壁
1.日本産業の強みと弱み
2.新たなリーディング産業候補が要求するインフラ、経営資源
III.リーディング産業育成のために
1.情報サービス産業
2.情報通信産業
3.バイオ産業
4.環境産業
おわりに
要旨
1.バブル経済崩壊以降、これまで日本経済の成長を牽引してきた自動車や半導体産業などが停滞し、日本経済は低成長を余儀なくされている。このため、旧来型リーディング産業自身の変身を含め、新たなリーディング産業の出現が強く求められている。
2.これまでの産業構造変化やリーディング産業変化のトレンド、今後の社会・需要変化や科学技術が向かう方向という4つの視点を基に、新たなリーディング産業候補を推定した。産業構造変化のトレンドからは情報サービス産業、リーディング産業変化のトレンドからは情報サービス産業も含む情報通信、情報通信多使用産業、社会・需要変化のトレンドからは、高齢者介護産業を含む医療・福祉、情報通信、環境、バイオ産業、科学技術のトレンドからは情報通信、バイオ、環境産業などが候補として挙げられる。
3.これらのリーディング産業候補は、互いに並列に位置するのではないようだ。インターネットを核とする情報通信産業を基盤とし、これをうまく利用する流通など情報通信多使用産業がその周囲に形成される。高齢者介護産業やバイオ産業、環境産業は、一部は情報通信多使用産業としての性格を持ちつつも、独自の需要を生み出し、情報通信産業とはやや独立に存在する面も有する。
4.リーディング産業育成のためには、どの産業、企業にとっても、インターネットの活用がまず重要である。このため、経営トップの情報リテラシー向上、情報投資効率を上げるための業務変革とそれを指導する専門部署の策定、インターネットを核とした新たなビジネスモデル構築が不可欠である。通信料金の引き下げ、競争を促進する規制緩和、優秀な外国人ソフトウエアエンジニアの長期滞在の許可なども必要となろう。これらができて始めて、日本が強いもの作り能力も生きてくる。
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