富士通総研

第6回フォーラム日本経済・産業の新生に向けて

概要

富士通総研経済研究所では、10月20日(水曜日)経団連会館において第6回フォーラム「日本経済・産業の新生に向けて」を開催した。聴衆は282名を数え、盛況のうちに幕を閉じた。

当社研究者による発表において、長島は産業活力再生特別措置法がかえって投資抑制を招き、中長期的な生産性の低下につながることを懸念して、新規投資を促進する税制を主張した。また絹川は製造業における研究開発投資の収益率が非常に高いことを計量的に実証し、科学技術政策のあり方として民間部門の研究開発投資の促進を主張した。情報化投資と生産性向上については、浜屋は組織・人事制度の改革との相乗効果があって達成できるものであることを強調し、湯川はネット企業がコミュニケーションが濃密な大都市の狭い地域で発展することに基づき、集積の形成を促す政策を訴えた。松山は年金制度改革問題を取り上げ、年金給付額の調整次第で、保険料率を据え置きつつ給付財源を確保できると主張した。生田は環境経営の実践は長期的な企業競争力に不可欠であると主張した。アジアの経済回復を実現するメカニズムが何かは、今後の研究課題であるが、その中でこれまで通貨危機を何とか回避してきた中国が独自の問題に直面している。金は深刻な財政赤字を伴う国営企業の経営難が、政治行政の介入や無責任な経営者によるものであることを明らかにし、市場原理に基づくコーポレート・ガバナンスの構築を提言した。

また特別講演において、田中直毅氏は、米国経済の強さは本物だが、最近神経質な動きが見られることも否定できない。軽微な調整で終わらせるためには、日本の景気が回復しグローバル資金の受け皿になることが重要である。しかし、1,300兆円の金融資産は将来への不安からゼロ金利でも動かず、個人消費に波及していない。国債の償還リスクを考えると、財政出動にも限界がある。家計が動く前に企業が新時代のビジネス・モデルを採用し、情報分野など独立投資を実行してグローバル資金を呼び込むことが不可欠だ。資金が入れば円高になり、アジアは日本の内需に依存した経済運営、企業運営ができる。こうしてアジアの景気が回復し結果として日本の輸出が増えることは、1年前に円キャリー・トレードの逆転で実証済みであると主張した。

研究発表プログラム

9時 受付開始
9時30分~9時40分 開会挨拶
理事長 福井 俊彦
午前のセッション
9時40分~11時40分 企業経営と資本効率
9時40分~10時20分 「設備投資 : 設備年齢の動きと生産性に対する影響」
主任研究員 長島 直樹
10時20分~11時 「研究開発投資 : R&D投資経済効果の再検討」
研究員 絹川 真哉
11時~11時40分 「情報化投資 : 情報技術の活用と企業パフォーマンス」
主任研究員 浜屋 敏
11時40分~13時 昼休み
午後のセッション
13時~15時 企業経営の新しい挑戦
13時~13時40分 「環境経営の高度化」
研究員 生田 孝史
13時40分~14時20分 「年金制度等の改革 : 総人件費コントロールの観点から」
主席研究員 松山 幸弘
14時20分~15時 「ネット企業の産業集積」
研究員 湯川 抗
15時~15時15分 休憩
15時15分~15時55分 「中国企業のコーポレート・ガバナンス」
研究員 金 堅敏
15時55分~16時55分 特別講演「米国経済・証券市場の動向と日本経済へのインパクト」
評論家 田中 直毅
16時55分~17時 閉会挨拶
会長 村岡 茂生