日本の製造業におけるR&D生産性の再検討
研究員 絹川 真哉
2000年1月
目次
序
I.R&D収益率の測定に用いるモデル
1.R&D収益率を測定する計量経済モデル
2.R&Dストックのモデル
II.データの作成
1.R&D以外のデータ
2.R&Dデータ
III.モデルの推定
1.推計方法
2.推定結果
IV.科学技術政策の評価と提言
1.民間の研究開発活動をいかに刺激するか
2.政府研究機関・大学の民間に対する役割をいかに高めていくか
要旨
1.平成11年8月に成立した「産業活力再生特別措置法」において、科学技術政策は産業競争力強化に大きく貢献することが期待されている。これら政策が本当に効果があるものなのかどうかを判断するためには、技術開発への主なインプットであるR&D投資が、どれだけ産業の生産性を向上させるかについて知る必要がある。しかし、日本のR&D生産性に関する実証研究は多くなく、更にバブル崩壊以降である90年代のデータを用いた実証研究はほとんどない。
2.本稿は日本の中分類製造業のパネルデータを用い、計量経済学的にR&D生産性を推計した。コブ=ダグラス型生産関数の推計結果は、1990年代を含めたデータセットを用いても、産業内におけるR&Dの収益率が非常に高いことを示している。
3.更に本稿は、産業間でのスピルオーバー効果、政府・大学R&Dの産業へのスピルオーバー効果、そして産業における基礎研究投資のプレミアム効果の有無を検証した。推定結果は、それらの効果が製造業においては存在していない可能性を示している。
4.これらの結果より、製造業の利益を最大にするためには、製造業自身の研究開発を刺激していくことが必要である。しかし、試験研究費の税額控除制度などの政策は、企業にとってあまり使い勝手が良くなかったためにこれまで十分に浸透してこなかった。企業の研究開発努力を更に促していくために、科学技術政策の抜本的改革が必要である。
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