公会計改革の方向性
主任研究員 岸 道雄
1999年10月
目次
はじめに
I. 我が国の公会計
1. 公会計の対象領域
2. 我が国における公会計と企業会計の相違点
3. 日本の公会計制度の問題点
4. 我が国の公会計改革に関するこれまでの研究・提言等
5. これまでの公会計改革の研究・提言等の傾向
II. 海外諸国の公会計改革
1. ニュージーランド
2. イギリス
3. 米国
4. 原価計算(Cost Accounting)の意義~インディアナポリス市の経験
5. 3国の公会計改革の評価
III. 望まれる我が国の公会計改革の方向性
1. 結果志向の行財政管理体制の構築を
2. アウトプットに基づく管理体制を
3. ABCの導入を
4. 固定資産は原則時価評価を
5. 限定的でもキャピタル・チャージ(資産保有コスト)の適用を
6. インセンティブの仕組みを明確に
おわりに
要旨
1.現行の政府・自治体会計は、単式簿記、現金主義であり、その弊害は、(1)支出の先送りによる表面上の効率化策が取られがち、(2)フローとストックが分離、(3)一覧性の欠如(連結の欠如)、(4)決算軽視、予算との非連動性、(5)真の行政コストの算出が困難、(6)長期的な政策コストの把握が困難、等が挙げられる。
2.こうした弊害に対してこれまで数多くの優れた研究・提言がなされてきたが、全体的な傾向として、自治体全体あるいは国全体の行財政改革と関連付けて、どのような公会計改革が望まれるのかについて踏み込んで論じられたものが少ないように思われる。
3.こうした点を検討するうえで参考になるのが、公会計改革において先進国と言われる、ニュージーランド、イギリス、米国の改革の目的、内容とその意義である。
4.3国の先進事例を踏まえて、我が国の公会計改革の方向性としては、(1)発生主義会計導入は、結果志向の行財政管理体制の中に位置付けられるべきであり、(2)アウトプットに基づくマネジメント体制を重視し(予算、決算、業績測定の統制の中心をアウトプット・ベースにする)、(3)活動基準原価計算(ABC)を導入、(4)固定資産は原則として時価評価、(5)限定的でも資産保有コストを導入、(6)行政マネジメントにおけるインセンティブの仕組みを明確にする、といったことが求められよう。
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