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人民元相場のソフトランディングに向けて

研究員 金 堅敏

1999年7月

目次


はじめに
I. 外為市場の仕組み及び人民元レート決定メカニズム
1. 「外貨調整中心」の閉鎖 : 外貨取引市場の統合
2. 人民元相場決定メカニズムと経常項目為替管理
3. 経常項目為替管理の課題
II. 人民元相場ソフトランディングのシナリオ
1. 現行経常項目為替管理制度の限界
2. 変動相場制への移行 : 市場基礎の拡大
3. 期待される政策効果
4. 外部環境の整備 : 新宮沢構想等多角的通貨安定化枠組みの実現
III. 変動相場制移行に関わる三つのホットイシュー
1. 対外債務への影響
2. 外資導入への影響
3. 香港ドルペッグ制への影響
IV. 結び : 将来の資本自由化のための基礎作り

要旨

1.中国では、1994年1月の人民元レートの一本化や1998年12月の外為市場の統合により外貨管理の市場化が進捗している。他方、アジア通貨危機等、国内外の経済環境が大きく変わってきているにもかかわらず、人民元レートは市場需給関係ではなく人為的に維持されている。

2.名目上、中国の為替制度は経常項目が自由化され、為替市場は「市場需給に基づく管理変動相場制」を実施している。しかし、外貨需要・供給に規制を設けると共に、人民元レートの変動幅規制等により、人民元相場は人為的に管理されている。そのような歪んだ外為市場構造は外貨管理の難しさを増し、為替レートの持つ国際収支調整機能が働かなくなる。アジア通貨危機の中で、中国の外貨管理政策の限界が再び露呈された。

3.外貨管理のコスト・パーフォーマンス及び国際収支調整機能の発揮という観点から、変動相場制への移行が中国内外にとって最善の選択と言える。競争的、かつ需給関係を十分に反映させる外為市場を構築するためには(1)外為市場における外貨需要の抑制政策の撤廃、(2)外貨集中管理制度の緩和ないし廃止、(3)外為指定銀行に対するポジション管理の緩和ないし廃止等の政策が必要となる。

4.変動相場制への移行により(1)マクロ政策決定の独立性確保、(2)WTO加盟に有利、(3)国内経済構造改革への支援、(4)財政負担の軽減、(5)資本取引自由化への基礎作り、(6)中国経済政策の対外透明性向上等の政策効果が期待される。

5.外貨準備残高や対外債務残高等を合わせて考慮すると、外資導入や対外債務問題は人民元相場調整の大きな支障にならない。香港ドルペッグ制の維持にも人民元相場そのものより中国の政治安定や経済発展がより重要である。

全文はPDFファイルをご参照ください。

PDF 人民元相場のソフトランディングに向けて [347 KB]