コンテンツ産業の地域依存性 - マルチメディアガルチ
研究員 湯川 抗
1999年4月
目次
はじめに
I. 研究の概要
1. 目的
2. 既存の文献調査
3. 調査の方法
4. 定義
II. サンフランシスコにおけるコンテンツ産業とマルチメディアガルチ
1. サンフランシスコにおけるコンテンツ産業
2. マルチメディアガルチ
III. 集積と発展の関係
1. コンテンツ制作の本質
2. 企業のプロフィール
3. 仕事の進め方
4. 集積による発展のメカニズム
IV. なぜサンフランシスコに集積したか
1. サンフランシスコの魅力
2. ソーシャルアメニティ
3. スペース
4. アーティストの集積
5. 関連教育機関
V. 政策の果たした役割
1. 過去の施策
2. 現在の施策
VI. まとめ
1. 集積の意義
2. 集積地域の条件
3. 政策対応の方向性
VII. 今後の研究課題
1. 全米各都市の支援策と実態調査
2. 日本のコンテンツ産業実態調査
3. 地域条件・政策的支援方法の抽出
要旨
1.わが国において、コンテンツ産業を政策的に支援するためにはどのような方法があるのだろうか。政策的支援方法を考える上では、近年米国の大都市中心部において次々と生まれているコンテンツ産業の集積地域から学ぶところは大きいと考えられる。本稿ではサンフランシスコのマルチメディアガルチと呼ばれる地域において実態調査を行い、(1)集積と発展にはどのような関連があるのか。(2)なぜ特定の地域に集積したのか。(3)政策の果たした役割はなにか。を明らかにした。
2.コンテンツの制作には様々な才能を結集して短期間で仕事を進めねばならないという本質があり、そのため新しくて小さな企業や専門家が互いに協力し、足りない才能や技術を補いあって仕事を進めるようになった。それにはフェース・トゥ・フェースのコミュニケーションやコラボレーションが必要である。このため企業や専門家同士のアクテビティが近接しているような立地条件が重要だったといえる。
3.コンテンツ産業がなぜサンフランシスコに集積したかに関しては、(1)ソーシャルアメニティの高さ、(2)安価なスペース、(3)アーティストの集積、(4)関連する教育機関といったサンフランシスコが本来的にもっていた機能によるところが大きいと思われる。
4.マルチメディアガルチの誕生に対して市は何の政策的な役割も果たしていない。これはサンフランシスコはコンテンツ産業が立地するのに非常に適した都市であったためだが、その後様々な政策を行ってコンテンツ企業をサンフランシスコに押しとどめ、かつ拡大させようとしており、このような施策には継続的ウォッチが必要である。
5.今後わが国でコンテンツ産業を振興していくにあたっては、様々な才能が濃密に接触する場を形成することが重要だと思われるが、そうした集積地域を意図的に作るのであれば、現在のポテンシャルの高い地域を集中的に支援していくことが有効であろう。そのためには他の集積地域における政策研究、及び我が国コンテンツ産業の実態に関するより詳細な現状分析が必要である。
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PDF コンテンツ産業の地域依存性 - マルチメディアガルチ [1.18 MB]
