ネットワーク社会の消費者と企業
研究員 浜屋 敏
1999年4月
目次
I. 電子情報ネットワークと消費者
1. 電子商取引の広がり
2. メディアとしての電子情報ネットワーク
3. ネットワークの経済的なインパクト
II. 消費者によるネットワーク利用の実態
1. ネットワークによるセグメンテーション
2. ネットユーザーの特性
3. ネットバイヤーの特性
4. ネットワークでの購入と情報収集
5. ネットワークに対する評価と不安要因
III. 消費者と企業の新しい関係
1. 消費者行動と企業活動
2. ビジネスモデルの革新
3. 新しいビジネスの可能性
要旨
1.インターネットに代表される電子情報ネットワークは急速に普及しており、企業間の取引だけではなく、消費者の買物にも利用されるようになっている。消費者がネットワークを買物に利用することは、消費者自身の買物行動の水準を高めるだけではなく、全般的な経済活動の効率を高め、活性化させるためにも望ましいことである。
2.消費者行動に与えるインパクトという視点からネットワークの特性を考えると、それは(1)時間と距離の克服、(2)情報の双方向性、(3)記録と検索の容易さという3点にまとめられる。このような特性を持った電子情報ネットワークは従来のメディアとは異なるものであり、消費者にとっては、商品に関する情報量が増加し、いつでもどこでも好きなときに商品を注文することができるようになることを意味している。しかし、ネットワークから大きな恩恵を受けることができるのは情報リテラシーを持った一部の消費者だけであり、ネットワークによる消費者セグメンテーションが重要になる。
3.われわれが行った女性に対する調査結果を分析すると、ネットワーク利用者と非利用者の違いは、年齢や職業などの基本的な属性の違いに左右される面が大きいことがわかった。ネットワークの利用者は高学歴で職業を持った若い女性が多いため、時が経ってそのような女性が家庭を持つようになれば、確実に家庭でのネットワーク利用者は増えていく。しかし、ネットワークで商品を購入したことがある利用者とそうでない利用者の間では基本属性には大きな違いはなく、両者の違いはネットワークの利用頻度に依存していることがわかった。ネットワークの利用頻度をそのまま情報リテラシーの尺度とすることはできないが、消費者の情報リテラシーを高めることによってネットワークの効果が高まることは間違いない。
4.ネットワークを積極的に活用する消費者を対象にしたビジネスを行うためには、企業自身がネットワークを活用して事業活動のあり方を根本的に変える必要がある。また、消費生活にネットワークが普及していくためには、消費者の情報リテラシーを高めること以外に、消費者と企業の間で情報整理をするサービスが必要になる。そのようなサービスはアメリカではベンチャー企業によって続々と事業化されており、「電子仲介業」あるいは「情報仲介業(インフォミディアリ)」という新しい産業としても注目されている。わが国においても、アメリカと同じ形態が消費者に受け入れられるとは限らないが、ネットワークにおける情報仲介という機能を実現する仕組みを早急に整備する必要がある。
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