日本経済活性化の方策
主任研究員 米山 秀隆
1998年7月
目次
I. 極度の消費不振がもたらす景気低迷
1. 累積的に悪化する景気
2. 97年度の消費抑制要因
II. 必要なコンフィデンスの回復
1. 政府の景気対策の評価
2. 政策の基本的方向性
III. 望ましい消費を促進するための政策
1. 環境、情報化、高齢化対応消費に対する所得控除
2. 制度のフィージビリティ
要旨
1.家計消費の落ち込みを主因として、景気低迷が続いている。消費低迷が販売不振、在庫増加、生産抑制、さらには設備投資の抑制につながり、経済全体が縮小均衡に陥っているのが現在の日本経済の姿である。その過程で、デフレ懸念も強まっている。
2.家計の消費性向(可処分所得に占める消費支出の割合)が低下したのは、金融システム不安の表面化をきっかけとして、将来に対する先行き不安が増大したからである。将来を展望しても、高齢化により公的負担が増加することが確実となっており、これらは家計が構造的に消費を抑制する要因となっている。
3.政府がこの4月に打ち出した景気対策は、こうした消費者の不安感を除去するに至らなかった。一時的な減税を行ったり公共事業を拡大したとしても、将来の増税として跳ね返ってくることがわかっており、消費者の不安感は解消されないからである。民間活力を刺激する所得税減税の恒久化や法人税減税を先行させ、同時にそれが将来の負担増加に直結しないように、歳出削減の道筋を明確に示すことが重要である。
4.これに加え、将来にとって望ましい消費や企業活動を誘導する政策も同時に考えられてよい。環境問題や情報化、高齢化などへの対応は日本経済の将来にとって重要な課題である。こうした分野に対応した商品を前倒しで発生させることができれば、景気の下支えと同時に、これらの問題への対応という意味での日本経済の構造改革を推進することが可能となる。そのために、環境問題や情報化、高齢化対応商品について、購入費用の一定割合を、所得から控除する制度を検討すべきである。支出に対する減税であるため、所得に対する減税より即効的な消費拡大効果が期待できる。
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