日本的雇用慣行の変化と企業行動
FRI・日本経済研究センター共同研究*
1997年10月
目次
はじめに
I. 日本の就業構造の実態
1.年功序列型賃金の実態
2.賃金プロファイルの国際比較
3.長期雇用
II. 長期雇用と年功賃金制の経済理論
1.労働経済学の理論
2.日本的雇用システムの理論
III. 調査でみる日本的雇用慣行
1.企業の見方
2.被雇用者の見方
IV. 日本的雇用システムの将来
要旨
1.終身(長期継続)雇用制、年功賃金制を柱とする日本的雇用システムの崩壊論が高まっている。日本的雇用システムとされるものの実態をみた上で、このような雇用制度が成立する理論的根拠を検討する。さらに、企業、被雇用者双方の雇用制度に関する考え方を調査データを通じてとらえながら、日本的雇用システムの将来を探るのが本稿のねらいである。
2.長期継続雇用は欧州にも広くみられる雇用形態で日本だけでのものではないが、50歳代を頂点とする年功序列による賃金格差の高さは明らかに日本だけで目立つ特徴である。年功制の典型は大企業の事務系労働者にみられるが、近年作業系労働者でも年功的賃金を受ける産業が増えている。だが、賃金のピーク水準(倍率)は長期的に低下し続けており、年功制賃金の形は残りながらもその程度(倍率)は弱まるという複雑な変化を続けている。
3.日本的雇用システムの経済合理性を協調する理論はまだ矛盾を内包しており、日本的システムが今後も継続するとの理論的根拠はないといってよい。
4.日本的雇用システムがグローバル・スタンダードに近づくことを前提にすると、長期雇用、年功賃金制ともに存在し続けるものの、その強度(長期雇用の有利さ、年功賃金の倍率)は急速に低下し続け、日本的といわれる特徴を弱めていく。
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